恋は盲目、愛は執着【青の祓魔師】 (ページ44)

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第43話一学期終了ページ44

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正十字学園中層部。
私立正十字学園高等学校。

『これで一学期も終わりか～』

終業式が終わった後の教室でAがそう呟く。

「今日も色々あって大変だったけど、Aさんは里帰りするの？」

『私は寮に残るよ。兄が一人いるんだけど、出張らしくて。そういう奥村くんは？』

「僕も寮生活だよ。夏休み始めの3日間は用事があって寮にはいないけど」

鞄に荷物をつめながら雪男が言う。
二人の机の上には色とりどりのプレゼントがあった。
雪男の机には女子からが９割を占めていたが、Aは男女の割合が半々のようだ。

夏休みが始まったらしばらく会うことができないから、
という理由で二人の机の上は沢山の贈り物が山になっていた。

『私も夏休みのどこか一週間は兄が帰ってこれるらしいから、その間だけ里帰りするかな。
　と言っても東京だから県内であることに変わりはないけど』

「そうなんだ。それなら夏休み中、学園のどこかで会うかもしれないね」

『確かに。私は基本、図書室か寮部屋だろうけど…』

普段から雪男は女子から手作り弁当やらお菓子やらを渡されるおかげか量は少ない。
しかし、隣に座っているAの机には雪男の比にはならない程多くのプレゼントが置かれている。
いつもは近寄りがたく渡したいけど渡せないという生徒が多いのだろう。

ここぞとばかりに机の上から溢れ、床下までも占領している。
見間違いではないであろう高級ブランドのバックやハンドクリームなどを見るに
流石、金持ち学園に通う生徒だ。

一般庶民では有り得ない程に高額なプレゼント過ぎて雪男は軽く引いた。
Aは表情には出さなかったが“これどうしよう”と焦っていた。

『そうだ。奥村くんがいるってことは燐くんもいるよね。もし良かったら一緒に勉強会でも開く？』

「！良いんですか!?僕としては大変助かります…」

『ふふっ。奥村くん、また敬語になってるよ』

口元に手を当てながらクスクスと笑うA。
雪男はAに対して最初に敬語ではなくタメ口で話していた。

「ごめん、Aさん」

『奥村くんいつも敬語だもんね。話しにくいなら敬語で良いよ？』

「タメ口で話すことも慣れておきたいから。
　Aさん、敬語使ってたらまた指摘してほしいんだけど…良いかな？」

『もちろん』

そう言ってこくり、と頷くA。
雪男はAの腕の中には納まりきらない大量のプレゼントを見て、
“寮まで運ぶの手伝うよ”と言った。