恋は盲目、愛は執着【青の祓魔師】 (ページ5)

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第4話動き出す秒針ページ5

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〝思い出〟とは何か。

その問いへの答えは無数に在る。

過去に自分が出会った事柄を思い出すこと。
また、その事柄のことを大勢の人間はそう表すだろう。

人間の持つ〝記憶〟とは何か。

過去に体験したことや覚えたことを、忘れずに心にとめておくこと。
心理学で、生物体に過去の影響が残ること。
また、過去の経験を保持し、これを再生・再認する機能の総称。

これが記憶という物だ。

私の能力(ちから)は万能だ。
私は人に存在を認めて貰えなければ人に干渉出来ない。
もっと細かく云えば、能力(ちから)だって発動する事は不可能だろう。

…私の存在自体は人の云う〝神〟に等しい。

でも私は彼等とは違う存在だから、信仰なんてする人間はそう多く居ない。
なら私は何故生きているのか、って？

それは簡単なことだ。
私はこの世界には認められて居ない。
違う世界、並行世界と呼ばれる別世界から来た傍観者なので。

何故、異世界に来たかと云うと理由は簡単。
この世界に、私の知らない〝彼女〟が居たから。

“私の知らない彼女”

何と興味深い言葉だろう…！

しかし――――

幾ら興味深いと云っても、その世界に至る道が同じなら面白くは無い。
面白くなければその世界は拵物(イミテーション)に等しく、
魅力的と云う言葉は寝言に等しい。

それ故に、私のしなければならないことは一つ。

“道を踏み外した時(・・・・・・・・)は、元のレールに戻す(・・・・・・・・)”

私の名前は―――‥‥まあ、云わないでおきましょう。
君達と親しくなっても利益なんてありませんから。

ああ、代わりと言っては何ですが私の事は好きに呼んでくれて構いませんよ。

運命は偶然よりも必然である。
〈運命は性格の中にある〉という言葉はけっして等閑(なおざり)に生まれたものではない。

さあ――――始まりの時間だ。