恋は盲目、愛は執着【青の祓魔師】 (ページ24)

今日:6 hit、昨日:76 hit、合計:134,576 hit

第23話悪魔の思考ページ24

-

――察しが良いのは今も昔も変わらず、か。
私の一挙手一投足を不自然に思われる事なく観察しそこまで気づくとは。
相変わらず鋭いが――私としては記憶も取り戻してほしい。

「そうですね。私はかなり前から貴女という人間を知っている。そして貴女もまた私を知っている」

『初めまして、なんて嘘つきですね。どこで出会ったのですか？』

今答えるのは正解ではない。
答えたとして普通に生きたいと願った娘が、私と関わることを是とするか？
答えは否。
関係を断ちに来るだろう。

目の前の少女が好む"知識"や"娯楽"を用意しなくては。
少女の好みは把握している。
"娯楽"は奥村兄弟の成長を間近で見る特等席で良いだろう。

残りは――"知識"。
異なりはするが記憶と思い出で良いだろう。
少女が自力で思い出せば良いだけの話。

私と話すたびに少しづつ記憶を取り戻す仕様にするか。
何も手を出さず女の運の良さに賭けてみるか。

「それは言わぬが花というもの。
　知的欲求は大切ですが、私から簡単に答えが手に入るのはつまらない。そうでしょう？」

『…確かに、そちらのほうが面白そうではありますが』

Aは先程メフィストからキスをされたとは思えないほど冷静に話す。
普通ならここで食い下がる所だがAは普通ではなかった。
この少女、思考回路が人間よりも悪魔よりなのだ。

探求心や好奇心には逆らわず、自分の欲に忠実であれ。

それが少女――A・ナアマの生き方だった。
流石に兄のいる所では大人しくしているがそれでも"知りたい"という欲に逆らったことはない。

そしてそれと同時に、知りたいと思った問いに関しての答えは自分自身で導き出す。
Aは人から教えてもらうのではなく本や自身の記憶から結果を出すことを好んでいた。

そしてメフィストはAの面倒な性格を十二分に理解していた。

「では、これから定期的に私と昼食をとりましょう☆」

“その方が貴女の疑問が早く晴れそうだ”と言って
メフィストはAに小さな薄ピンクのメモ用紙を渡す。
その紙にはメフィストのであろう携帯番号が書かれている。

「昼食を一緒に取れない日は連絡しますので、その日以外は理事長室でお待ちしております」

ウインクをしながら私の逃げ場を確実に無くす理事長。
星がこちらに飛んでくる幻覚まで見えた。

……この理事長、生徒に手出して捕まりそうだけど本当に大丈夫か？
というか待って。今、連絡する日以外来いって言った??