恋は盲目、愛は執着【青の祓魔師】 (ページ38)

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第37話地王と外出ページ38

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「兄上からカードという物を貰ったので好きなだけ買えますよ」

カードの持ち主であるメフィストの事は一切考えない誘い方だ。
メフィストから持たされた〝無限の鍵〟もあるが、
記憶を取り戻していないAの前での使用は禁止されているのでそこは守るアマイモン。

Aと再会したことについて。
実はAと2度目の再会をはたす前日に嫌というほどメフィストに詰め寄られた。
そのしつこさにはアマイモンも我慢できなく最後はメフィストを殴って強制的に終わらせた。

Aの記憶に関して、時の流れに任せる兄(時の王)の考えと弟(地の王)の考えは違った。
魔障を受けてしまえば悪魔が見えるようになる。
そうすればもっとはやく自分達の事を思い出すのではないか、と。

『街に出たいなら、一人で行ってくれば？』

「Aも一緒じゃなきゃ意味がありません」

『厭だよ、面倒臭い』

「ボクとの約束破るんですか」

不満そうにそう言うアマイモンに、Aは首を傾げた。

――約束、とは・・・？

『何の話？』

「１週間前、ボクに一日くれるって言いました」

アマイモンの言葉に、七日前のやり取りを思い出す。

―――“『ごめん！今日は忙しくてケーキ屋さん一緒に行けなくなった!!』”
―――“「…なら、キミの一日ボクに下さい。それで許してあげます」”
―――“『わかった。良いよ』”

１週間前。
確かに、会話をした憶えがある。

『あの時の事か…。でもさ？何もこんな雨の日じゃなくても…』

「ボクとの約束を破る事は許しません。今度がいつかわからない以上、雨でも今日行くんです」

まあ確かに、アマイモンの言っている事もわかる。
互いの予定から察するに、いつ会えるかわからないようなものだ。

確かに、そうなのだけれど。

Aは窓の外を見やってから、口を開く。

『…でもさ～、ほら、外見てごらんよ。雨だよ？こんな雨の中、どこ行くの』

「キミの行きたい処に決まってます。何処へだって連れて行ってあげますよ。
　雨だろうとボクに出来ない事はない。何だって良いです、遠慮はいりません、言って下さい」

真顔で恥ずかしげもなく言うアマイモンに、Aははぁ、とため息を吐いた。

親しい相手にこんな事を言われて、跳ね除けるのは流石に心が痛む。
どうすればアマイモンが出掛けることを諦めてくれるだろうか、
と考えながら、Aは再び口を開いた。