恋は盲目、愛は執着【青の祓魔師】 (ページ26)

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第25話気になる点ページ26

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『調理実習室の貼り紙、本当だったんだね』

朝、いつも1番早く教室に来るので窓を開けて換気をし植木鉢の花に水をやる。
その後は自分の席で推理小説を読むことがルーティーンのA。

はじめに来た2，3人はAに“おはよう”と挨拶するが、
その後に来たクラスメイトは高嶺の花と言われるAが小説を読んでいるので話しかけられずに終わる。

毎日Aと挨拶を交わす相手と言えば隣の席の雪男だけ。

Aは目立ちたくないだけで話しかけられれば話し返すし、会話が嫌いなわけではない。
クラスメイトもAと話したいし、仲良くなりたいと思っている。
仲良くなりたい、に下心が含まれている人も少なくない。

Aの席は廊下側の端のため右隣は壁で、左隣は雪男。
彼女の前後の席は告白して撃沈した男子生徒のためあまり話しかけてはこない。

Aが自分から話しかけるのは比較的話せるようになってから。
そうでなければ相手から話しかけて会話を繋げてほしいAにとって
教室の中で会話する相手は隣の席の雪男だけだった。

「あはは…。字が汚くて読みにくいよね」

『そうだ、奥村くんは書道得意？』

「一応人並みにはできるよ」

“それならこういうのはどうかな”
そう言って机の中のファイルからB4の紙を取り出しシャーペンで文字を書き始めるA。

――――――――――――――――――・・・・

家庭料理の店

奥村屋

　◆日替わりランチ五〇〇円

――――――――――――――――――・・・・

Aの書いた字は美しかった。
書道の草書のような達筆さや力強さはないが均等の取れた綺麗な字だった。
可愛い丸字ではない所がナアマさんらしいな、と雪男は思った。

「ナアマさん、字が綺麗だね。それ良かったら参考にしても良いかな？」

『うん。書道はあまり得意じゃないから奥村くんが書いた方が絶対良いと思う』

「ありがとう。後は…学園のコミュニティや掲示板に広告を打ってみるか兄さんに聞いてみるよ」

書いたを渡すと雪男はAに笑顔でお礼を言った。
こういう誰に対しても丁寧な対応をする所がモテる理由だなとAは思った。
Aは自分の性格が良いと思ったことは1度もないし見た目でモテていると知ってるから。

奥村くんの双子の兄…似てるのかな？普通に気になる。

『…今日、食べに行こうかな』

Aは理事長から来たメールを片手に、小さくそう呟いた。