恋は盲目、愛は執着【青の祓魔師】 (ページ11)

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第10話噂駆け巡るページ11

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新入生代表が挨拶をするため壇上に上がる。

「ちょっとカッコよくない？」

「えー。ちょっと地味じゃなーい？」

「後で声かけてみよーよ」

女子生徒がひそひそ話す声が聞こえる。
他の生徒の邪魔にならないよう小声で話しているつもりらしいが、
Aの席からは思いっきり声が聞こえていた。

入試は行ったが流石にブランクがあったせいか、Aは2位だった。

可もなく不可もなく、けれど1番は目立つから嫌い。
そんな性格のAにとっては神が味方してくれたとしか思えないほど幸運(ラッキー)だった。
まあ、自分を溺愛する兄は器用に喜びながらも入試トップにキレていたが。

…あんな場所に立ってしまえば、目立たずに生活なんて無理だ。
ただでさえ、容姿だけで注目を集めているといいうのに。

「なあ、あの女子可愛くね」

「可愛いっつうより美人だろ。なんか猫っぽい」

「姿勢きれー」

Aは小さくため息を1つ吐く。
入学式位静かにできないのか、と。

「――新入生代表、奥村雪男」

Aは式が終わった瞬間、すぐに席から離れ教室に向かった。
この場で動かずにもたついていれば確実に誰かに話しかけられる。
実際、Aは西洋人形のような容姿のため人気だった。

今日は新入生代表が男子だったことにより、女子生徒はそちらに目が集まっているのだろう。
おかげでAに集まる視線のほとんどが男子生徒のものだった。

……何がうれしくて野郎に見られなきゃならないんだ。

Aはあまり汚い言葉遣いはしない質だが機嫌が悪くなるとこうなる特徴があった。
流石に口に出して言うことはできないので心の中にとどめておく。
しかし今話しかけられたら本音を漏らす自信があった。

『話しかけられる前に教室(1-特A)に行かないと奥村くんの二の舞になる』

Aは決して内向きな性格というわけではない。
社交辞令も得意だし、社交性もどちらかと言えばある。
けれど話をするより聞く方が得意だった。

視界の端に女子生徒からの質問攻めをうける雪男をいれると
Aは歩くスピードをはやめ教室へと向かった。