環くんと大切 ページ44
頭の奥が痺れる
(…なんでそんな、そんなに優しいんだ)
今更になって田畑Aという人物を身を持って知り、天喰の胸は苦しくなる
「…っ、ダメだ、それ以上触れないで」
「え…」
「…おかしくなりそうだ」
パシッと背中に触れていた手を掴み、天喰が振り返る────その顔は、切羽詰まった余裕のないもので
瞳の奥にはAを求める熱情が滾っていた
背筋にゾワゾワとしたものが走り、その熱情を感じ取って、Aはそっと身を引いた
「…ガーゼ交換するね」
「…ありがとう」
クラクラする頭を何とか立て直し、棚の上の救急箱からガーゼを取り出し、慎重に交換していく
静まり返った部屋の中で、互いの鼓動の音と、Aが作業する音だけが響く
静かな空気を切り裂いたのは「…ごめん」
天喰はそう呟くように言って、俯いてしまった
「…え？」
ピタリ、思わぬ謝罪にAが手を止めると、天喰は自身のポケットから小さな袋を取り出し、その中から────
「…本当に、ごめん
任務中に、敵の銃弾で、割れて────」
それは、Aが水族館デートの時に上げたネックレスのターコイズの破片だった
天喰は俯いていたが、それを掌に包み込むと、顔を上げて振り向いた
「でも、このネックレスが、俺を守ってくれた
このネックレスに銃弾が当たったから、俺はこうして生きてる」
真摯な眼差しから一変、天喰はきゅっと目を細めて微笑んだ
「ありがとう、A」
天喰の言葉に、Aは目を大きく見開いて、それから手が震えて
────真逆、そんな事があったなんて
無力だとずっと思っていた
彼はプロヒーロー、私は無個性の一般人
お守りをあげる事しか、祈る事しか、おまじないを掛ける事しか、出来ないと思ってた
「良かった…、良かった…っ」
(嗚呼、環くんの役に立てた)
やっと、サンイーターの隣に立つことが出来たと心からそう思って、大粒の涙が溢れてしまう
「…本当に泣き虫だね、Aは」
「だって、だって」
言いたい事がありすぎて、何を言っていいかわからない
でも、一つだけ言えるのは
「貴方が、大切だから────」
大切で仕方なくて、色々考えるほど不安になって、何か力になりたくて
感極まって鼻水まで出てきてしまって啜っていると、
「ほんと、ひどい顔」
天喰はそう笑って、Aの目尻をそっと拭った
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天喰ルナ - 天喰推しにはたまんない、、、最高です！！最後まで見ます！！ (2021年1月12日 17時) (
レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 一姫さん» すみません、スタマイではありません…。私が考えた架空の製薬会社名なのですが、同じような名前の会社があるのでしょうか？ (2019年12月17日 18時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
一姫 - 夏目製薬って、もしかしてスタマイですか？！.｡.:*･'(*°∇°*)'･*:.｡. (2019年12月17日 14時) (レス) id: 2938947de7 (このIDを非表示/違反報告)
一姫 - 夏目製薬って、もしかしてスタマイですか？！.｡.:*･'(*°∇°*)'･*:.｡. (2019年12月17日 14時) (レス) id: 2938947de7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます！一応ではありますが完結しました！続編もこれから書いていきますので、見てくだされば幸いです！これからも更新頑張ります！ (2019年2月22日 20時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年2月10日 21時
