天喰さんと温もり ページ14
がらり、ゆっくり戸を開けると、身体中に包帯を巻いた天喰が寝台に横になっていた
「…あまじき、さん」
駆け寄ると、夕陽に照らされた天喰はゆっくり目を開いた
「…あれ、Aさん？」
掠れた声
あの、落ち着く、穏やかな声じゃなくて、掠れた声
その声を聞いた瞬間、今まで我慢していたものが溢れだしてきてしまった
「…まじき、天喰さん、あまじきさん…っ」
ボロボロと、涙が頬を伝う
(バカ、何やってるの私
いきなり来て泣くなんて、天喰さんだってきっと困ってる)
涙で視界が歪んで、天喰の表情はわからない
表情が見たくて、必死に両袖で拭っていると、大きな手が頭に触れた
ハッと顔を上げると、ゆっくり、ゆっくりと、引き寄せられて────Aは天喰の腕に収まった
「…相変わらず泣き虫だね、Aさん」
近くで感じる、優しい声音、呼吸、温度、匂いに、また涙が、想いが、溢れ出す
「心配しましたぁ…、本当に、心配で、心配で…っ！」
「ごめん、大丈夫、俺は大丈夫だから」
「無事で、良かったぁ…！天喰さんっ…！」
最初に会った時のように、子供みたいに大泣きするAを────いや、以前よりずっと、ずっと優しく、天喰は守るように包み込んでいた
「…じゃあ、すぐ復帰出来るんですね？」
泣きすぎて赤く腫れた目、鼻をすする彼女に思わず笑ってしまう
「うん、打撲だし…火傷も、そんなに酷くない」
「…そうですか、あぁ、安心した…
本当に良かったです、天喰さん」
胸をなでおろし、心から安堵の微笑みを浮かべる彼女に、胸が温かくなる
(…本当に、Aさんは…)
わからない、まだこの気持ちが、わからない
だけど────
もっと、もっと、距離が近くなりたい
「…天喰くんで、いいよ」
「えっ…」
真っ直ぐ、彼女の目を見つめる
綺麗な桜色の瞳は、驚きに見開かれていた
「Aさんに、そう、呼んで欲しい」
小さな手を祈るように包み込むと、Aは夕陽のせいか、否か、赤くなった顔で
「天喰くん」
あまじきくん、彼女の桃色の唇が紡いだ言葉は、ただの自分の名前なのに
「…っ」
(駄目だ、嬉しくてどうにかなりそうだ)
情けない顔を見られたくなくて、片手で隠してからAを見つめた
「ありがとう、Aさん」
────その日見た夕焼けは、今までで1番、綺麗に輝いていた
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天喰ルナ - 天喰推しにはたまんない、、、最高です！！最後まで見ます！！ (2021年1月12日 17時) (
レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 一姫さん» すみません、スタマイではありません…。私が考えた架空の製薬会社名なのですが、同じような名前の会社があるのでしょうか？ (2019年12月17日 18時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
一姫 - 夏目製薬って、もしかしてスタマイですか？！.｡.:*･'(*°∇°*)'･*:.｡. (2019年12月17日 14時) (レス) id: 2938947de7 (このIDを非表示/違反報告)
一姫 - 夏目製薬って、もしかしてスタマイですか？！.｡.:*･'(*°∇°*)'･*:.｡. (2019年12月17日 14時) (レス) id: 2938947de7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます！一応ではありますが完結しました！続編もこれから書いていきますので、見てくだされば幸いです！これからも更新頑張ります！ (2019年2月22日 20時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年2月10日 21時
