君色を瞳に映して【爆豪勝己】 (ページ6)

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私は、恐らく彼の取り巻きであろう男子達にからかわれている後ろ姿を、見送った。
ここを立ち去る前、すごい勢いで睨まれた。そりゃあもう、泣く子も黙る所か更に泣き叫ぶであろう勢いで。何あれ、あの視線で一体何人の人が犠牲になったの。

そんな事があったからだろうか、この教室に来た時以上の視線を感じる。

待って、私そんなに視線に耐性無い。無理、引きこもりたい。部屋の布団に潜り込みたい。そしてあわよくば1日中ゴロゴロしてたい。チョコ食べたい。ゴディバのチョコが食べたい。他人の金でたらふく食べたい。

そんな迷走を続けていたら、いつの間にかチャイムが鳴った。

記念すべき1限目は社会だった。

「休み時間のあれ、凄かったね。」

今はお昼休み。黄色の長い髪をオレンジのリボンでツインテールにした女の子が、椅子と弁当箱を持って話し掛けてきた。

「あ、お弁当一緒に食べていい？」

「うん、もちろん。」

休み時間のあれとは。あれでいいのかな。朝の。

「あれさぁ、やっぱり個性？」

「うん、そうだよ。」

「やっぱりかぁ〜。個性だって分かっても、何の個性かまでは分からなかったけど。…にしても、あのカツキを黙らせるなんて凄いよ、そんな人初めて見た。」

転校そうそう私は武勇伝を作ってしまったみたいだ。

「あ、名乗り遅れました。私は西園寺乙音。気軽に呼んでね。」

「知ってると思うけど、私は彩瀬A。よろしくね、乙音。」

右手を差し出すと、乙音は嬉しそうに握り返してくれた。
良かった、朝からあんな事になったから友達出来ないかと思ったけれど、これでぼっちは回避が出来たかもしれない。