君色を瞳に映して【爆豪勝己】 (ページ4)

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何事も無かったかのように。まるであの3秒間は空白の時間だったというように、私は真面目な自己紹介をした。
名前と出身と、もちろんよろしくお願いしますの挨拶も添えて。

人間は食べ物を食べなければ死ぬ。
何かを買うにはお金が必要。
夜は太陽が沈む。
そんな感じで当たり前のようにセットでついてくる質問タイム。
転校生あるあるパート1。

そして当然出てくるソレ

私ソレ、あんまり好きじゃないなぁ。
目の前でバスを乗り損ねる状況の次くらいに。

「彩瀬さんの"個性"って、何ですか？」

だってほら、それってつまらないじゃん。マジックの種明かしと同じだよ。自分で発見した方が面白いと思わない？まぁ、感情って人によりけりだから、強要はしないけれど。

「何だと思いますか？」

質問に質問で返すとはまさにこの事。その一言でザワザワと教室が沸き立つ。

「はいはい、皆さん静かにー。他に質問ある人はいる？」

「よろしくね、彩瀬さん。」

「うん、よろしく。」

空いてる席がある訳が無く。私は恰も貴方の為に用意しましたよ、と示されているような後ろに付け足されたであろう席に着く。前の席の子と軽く挨拶をし、担任の朝の諸連絡を聞く。

視線がちらちらとこちらに向けられる。まぁ、転校なんて初めてだけど、こんなもんか。

日直のやる気ない号令に合わせて礼をする。着席をし、落ち着いたかと思えばすぐに、自己紹介をした時のようなざわめきを取り戻す。

1限目は何だったっけ。鞄から教科書を取り出すべく、体を折り曲げて鞄の中を覗く。

「ねぇ、彩瀬さん。」

うわ来た、転校生あるあるパート2。
上を向けば、ぱっと見9、10人。女子の方が比較的多め。
質問攻めはめんどくさいと思う反面、どこか嬉しく感じている部分もある。興味を持たれて嬉しくないわけがない。人ってそういう生き物。