君色を瞳に映して【爆豪勝己】 (ページ23)

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私達は思い思いに腰を掛け、取材という名の雑談をしている。
オールマイトはイメージ通り、気さくで優しくてあたたかくて、正義感溢れる人物だった。

「どうしてヒーローになろうと思ったんですか？」

「平和の象徴になりたかったんだ。この世の中には、そう呼ばれる存在が無い限り犯罪は減らないだろう。私はね、平和な世界で笑い合える世界にしたいんだ。」

見本のような、ヒーローらしい回答。でも、それが作り物じゃないって事はひしひしと伝わってきた。
この人は、本当に。本当に世の中の平和を願っているんだって。

曖昧にヒーローを目指してるだけの私が恥ずかしく感じた。

「ヒーローを目指している子供たちに向けて、何か言いたいことってありますか？」

「そうだねぇ…。ヒーローを目指す理由って各々違うのは当然だ。憧れるから、カッコイイから、人々を助けたいから、自分の生活費を賄うため。どんな理由でもいい。ヒーローって最終的には誰かを助ける仕事なんだってことをまず、わかっていて欲しい。顔も知らないような、見ず知らずの人に命を掛ける職業だ。」

「けどね、だからって自分の事をおざなりにしてはいけないよ。何の為に動いているのか、何をしたいのか。まずは自分の心に聞いて欲しい。自分の気持ちを大事に出来ない人には、本当の意味で他の人を大事にするなんて出来ないからね！」

オールマイトはそう言ってウィンクを決めた。
私の隣で出久くんが目を輝かせている。

自分の気持ちを大事に………、か。

「2人とも、ヒーロー目指してるんだってね。きっと数々の困難が立ち塞がるだろう。…でも大丈夫！何かあったら自分の心に聞くんだ。自分は何をしたいのかってね。そうすればきっと、自然と答えは見えてくるよ！」

「今日はお忙しい中お時間をくださり、ありがとうございました！とても為になるお話を聞かせていただいて、本当に有意義な時間を過ごせました！」

「いやいや、将来のヒーローの卵にちょっとしたアドバイスさ。」

オールマイトは凄い人だ。私には眩しすぎる。

「じゃ、そろそろ私は仕事に向かうよ！………っと、その前に一つ彩瀬少女に聞きたかったんだが…、君、チェーサーくんの娘さんだね？」

「えっ……、チェーサー…って、彩瀬さん…っ？！そうなの？！」

あぁ、

どうしようもなく

「………………、そうでしたね。」

＿＿＿＿＿＿吐き気がする