君色を瞳に映して【爆豪勝己】 (ページ21)

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「カツキ、準備は良い？」

「上等だゴラァ」

よし。

スパーンと教室の扉を全開にする。ソイツと目が合った。

「やーっておしまいッ！！！！」

「何処の悪の女王だ！！！？」

ツッコミながらも仕事こなしてくれるカツキって凄い器用だと思う。

「で？コイツが犯人かよ。」

ソイツはカツキに背中をつままれ、プラーンと宙ぶらりん状態になっている。

「これ以上無い程の実行犯逮捕だけど、更に証拠を出せって言うの？論破厨なの？」

「違ぇわ。」

「にゃあん」

足をぷらぷらさせながらソイツ＿＿＿"黒猫"が鳴いた。
口にはこれでもかと言う程にキャットフードを詰め込んだまま。

まぁ、普通に考えて、あの状況なら人間の犯行ではないと考えるのが妥当だろう。
黒い毛で確信できる。

恐らく、この子はお腹を空かして、食べ物を漁っていただけなのだ。
だから私はキャットフードを自分の机の中に置いておいた。

まんまと計画通りに事が進み、ちょっと呆気ない。

「この子、首輪してないね。」

「野良なんじゃねぇの？」

首を掴まれたままだと可哀想なので、私が引き取った。腕の中でくるりと丸くなった。随分人懐っこい野良猫だ。

「にしても、この子の目、すごく綺麗。ルビーレッド？分からないけど、カツキの目に似てるね。」

「俺と一緒にすんな。」

「よし、私がこの子飼う！」

「話を聞けや！」

飼うなら名前を決めないと。
名前、何がいいんだろう……。そう考えながら腕の中の猫を見つめる。

「……かっちゃん？」

「ザケンナ。」

却下されてしまった。出久くんがそう呼んでて、愛着湧いてるあだ名なんだけどなぁ……

後日談。学校には運良く私達の取り押さえ現場はバレることは無く、1日限りの犯行で、いつしかその事があったことすら、忘れられていった。

そして私の家には新しい家族が増えた。

「あの猫、どうだよ。」

「ルビーね、元気だよ。名付け親だから気になっちゃう？」

そう言って笑うと、軽くペちんと頭を叩かれた。素直じゃないの。