君色を瞳に映して【爆豪勝己】 (ページ13)

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雨がザーザーと降り止まない。窓を睨みつけた。
はーぁ、だから早く帰りたかったのに。とはいえ、日直だったから致し方ない。

6限目辺りから雨降りそうだなぁ、傘持ってきてないし早く帰ろうとか思っていたのに。日直の仕事終わらせてたら外は大降りになっていた。
ツイてないなぁ……
星座占いきっと最下位だ。知らんけど。

今日は一斉下校の日で、部活がない。よって乙音や他の子達はとっくに帰ってしまってる。つまり何が言いたいかと言うと、傘を借りることが出来ない。

「雨が止むまで待つ、かぁ。」

自分の席に着き、机に顔を横たえながら窓の外を見つめる。
こんなに降るなんていつぶりだろう。

ザーザーと、止まらない音。自然の音を聞いていると、心地よくなってくる。
雨の音もまた然り。

ヤバい、眠くなってきた

どうせ止まないと帰れないし、少しくらい寝ても平気かな。

私は睡魔に抗うこと無く、意識を暗闇へと飛ばした。

仲睦まじい家族の姿があった。
女の子と、お母さんと、お父さん。

どれも見覚えがある。自分と、その両親だ。

あぁ、夢か。

瞬時に自分の置かれている状況を理解できた。

だって、お父さんがいるだなんて、そんな。

夢だとしても、両親が仲良くしている所なんて久しぶりに見て、らしくもなく涙が出そうになった。

少女が父親に頭を撫でられる。その感触が自分にも伝わってきた。あたたかくて、堪えていた涙が溢れてきた。

ふ、と温もりが消えた。気が付くと、父親が背を向けていた。

行かないで。

行かないでよ、

「おと……さ……」

伸ばした手が何かを掴むことなく、空を切った。

「目ェ覚めたかよ。」

「………か、つき…？」

あの綺麗な君の瞳が、私を見つめていた。