君色を瞳に映して【爆豪勝己】 (ページ12)

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乙音の中間テストの結果は上々だった。赤点は採らなかった。当たり前じゃん、私が教えたんだから。

え？かく言う私？
1位に決まってる。

「彩瀬、先生が職員室来いってよ。」

そう声を掛けてきたのは、カツキの取り巻き1号。指が伸びる子。
えーっと、名前は……

「ありがとう、取り巻き1号くん。」

「おー…って、おい！俺の名前は！」

後ろで何か言っていたが、私はさっさと廊下へ足を運んだ。取り巻きくんの名前より、先生のお呼び出しの方が大事だ。
そう、決していじめじゃない。正当な判断の上での行動である。

「あ"？テメ、どこ行くんだよ。」

「カツキだ。えっとね、先生に呼ばれたから教室。」

「何しとんだ。」

「別に悪い事はしてな…………。」

まさか、乙音と担任のハゲ方ウケるから、いっそガムテープで全部ハゲにした方が良いんじゃないかって話してたのがバレ………っ？！

「ノーコメントで。」

「おい。」

「彩瀬、わざわざ来てもらって悪いね。君の進路についてだよ。」

良かった、どうやらハゲの話はバレていないようだ。

「私の進路、ですか？」

「あぁ、君は確か雄英のヒーロー科を目指しているよね。」

「はい、まぁ…。」

「君の成績なら申し分無い。体術にも長けている。個性も強力だ。全てにおいて、君はこの学校……いや、全国で見ても、素晴らしい成績を持っている。そこで、推薦を使うのはどうかと思って。」

「雄英の推薦……、って、この学校あるんですか？」

「雄英に話を持ちかけてみようと思ったんだ。君には期待しているからね。」

＿＿＿期待……ね。

期待かぁ。

「………いえ、推薦は、良いです。」

「ほう？」

「期待していただけるのは、とても嬉しいです。そういったお誘いをしてくださるのも。……でも、カツキが頑張ってるのに、それはずるい気がするんです。」

それは確かに嘘じゃない。……けど、

「そうか、呼び出して悪かったね。話はそれだけだよ。……君の将来は有望だ。期待している、頑張れよ。」

「………ありがとうございます。」

その時の担任の目を、私は知っている。
いつも身近で見ている目の色をしていた。