君色を瞳に映して【爆豪勝己】 (ページ11)

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「神様仏様A様ァ〜！！」

中間テストがやってくる。私の前で華麗な土下座をかましてるのは乙音。
刻々と彼女に危機が迫っていることはお分かりいただけるだろうか。

「勉強教えろってことね、良いよ良いよ、勉強会しよ。」

「A愛してる。」

「奇遇だね、私も。」

何これ。

敢えてもう一度言うけど、何これ。

「どうしたの？A」

「何この豪邸。」

「私の家。」

嘘じゃん。
フツーのそこら辺の一軒家4つ分くらいの大きさはあるんですけど。

ちょっ、乙音待って！そこの嬢ちゃんヘイストップ！当然のように入っていかないで！！私免疫無い！！お金持ち免疫無いです！お金持ちアレルギーです！足の震えが止まらない！置いていかないで！！あの時誓い合った愛は何処へ？！？！

「A〜？何やってるの、早く行くよ？」

「私の体がステロイド剤を急速に求めてる。」

「え、何それ。よくわかんないけど取り寄せようか？」

「金持ちがクソォォオ！！！」

暫く荒れた。

「だぁぁ、国語ヤダァ、1番嫌いぃぃ死ぬぅ。」

「ほら頑張ろ、赤点回避目標でしょ。」

乙音がひいひい言いながら国語のテキストと睨めっこしている隣で、私は高橋さんが持ってきてくれたロールケーキを食べている。

高橋さんは、この家で雇われている家政婦さん。
乙音の両親は音楽家で、世界をウロウロしているらしくて、乙音の面倒を見ているらしい。

「はぁ？何で？どうしてこの子女の子追いかけてあげないの。」

「基本的に物語文にツッコミ入れちゃダメだよ。」

「王道じゃん！こういうラブストーリーで別れるシーンって大抵男子は女子追いかけるじゃん！」

「ねぇ、私の話聞いてた？強いて言うなら女の子が向かったのは海外だからかな。」

「そんなの飛行機乗って行けばいいじゃん。」

思わず手刀を食らわせてしまったが私に罪は無いはずだ。

これだからお金持ちのお嬢様は！！！

「もうマジでわっかんない。どうしたらいいと思う？」

「脳ミソ取り出して塩水で洗えばいいと思う。」

「ごめん何の話？」

一旦この子の思考回路をリセットした方がいいと思う。マジで。
私が前に通ってた中学校の国語の先生、塩水で洗うといいって言ってた。