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そのありがとうは、今までのどのありがとうよりも力強くて、くすぐったくて、そして優しかった。
TH(……っ)
どきりと胸が粟立って、テヒョンは無意識に自分の胸を抑えた。
ホテルの一室で好きな人と二人きり、という状況のせいもある。
TH(だめだ……っ、僕は一回、フラれてるんだから)
いつだったか想いを伝えたあの日。
Aは何も言わず、何も答えず、ただテヒョンの想いを宙に浮かばせた。
そしてテヒョンは悟った。
きっとこの思いは、届かないのだと。
「僕は、君に支えられて、みんなに支えられて、此処まで来た。だから……」
そんな人の気も知らず、ぽつぽつと言葉を零すA。
「僕もちゃんと、答えを出すよ」
TH(……答え？)
また、どきりと胸が騒ぐ。
Aの言う答えが何なのかは分からず、ただ、自分の想いに応えてほしい気持ちで今は一杯だった。
「女だとか男だとか……ずっとその狭間で自分を見失っていたけど。
やっと、答えが出せそうなんだ」
Aの凛としたその言葉に、テヒョンは胸騒ぎを止められなかった。
TH「それはその……女の子に戻る、ってこと？」
思えば、Aが男として生きていくと決意したのは、母のためだ。
元々はただ男の子のような趣味を持った女の子。
過去を許した今、今度こそ本当の自分の姿になるというのなら、女の子に戻ってもおかしくはない。
ただ、Aはテヒョンの答えに肯定も否定もせず、静かに笑うだけだった。
TH(Aが、女の子に戻ったら……っ)
テヒョンにとっては、もはや男だとか女だとかは関係ない。
ただAという人間に惹かれ、Aという人間を好きになったのだ。
けれども世間はどうだろう？
仲間たちは、どう思うだろう？
こんなに綺麗な人が、女の子に戻るのだ。
きっと誰も、放っておくわけがない。
妙な焦りに駆られたテヒョンは、もはや衝動的にAの腕を掴んでいた。
TH「Aっ！ 僕は、君が男でも女でも、君の事が……っ」
だがしかし、最後まで言い切る前に、Aの細い指が唇を塞いだ。
「大丈夫。もうちゃんと、伝わってる」
そう言って微笑むAの表情を、テヒョンは唖然と見つめる。
「でも、もう少しだけ待ってて。
そして……僕の答えを見てから、それでも気持ちは変わらないって言うなら、その時に……」
――また、教えて。
Aはそう耳元で呟いて、ひとり布団の中に潜ってしまった。
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グミカン(プロフ) - 塩水さん» 読んで下さっていたのにも関わらず、身勝手な判断で更新を止めてしまい申し訳ありません。現在新たに書きたいテーマが出来ましたので、時間に整理がついたら書いていきたいと思っています。せっかく読んで頂いたにも関わらず、重ね重ね本当に申し訳ございません。。 (2022年10月23日 3時) (
レス) id: 4c30d065bb (このIDを非表示/違反報告)
グミカン(プロフ) - 塩水さん» 塩水さん、遅くなりましたがコメントありがとうございます・・！完結から時間が経っているにも関わらず、このような感想が頂けたこと、大変光栄に思います。３人の彼女についてですが、自分の中で色んな考えの変化があり、更新を断念させていただきました。 (2022年10月23日 3時) (レス) id: 4c30d065bb (このIDを非表示/違反報告)
塩水(プロフ) - 新しい世界を見せてくれたこの作品と作者様に出会えて、本当に嬉しいです。それと、以前投稿されていた「3人の彼女。」という作品は、もう読ませて頂く機会は無いのでしょうか?このような場所で質問してしまい、申し訳ありません。 (2022年7月12日 20時) (レス) id: ca8e68c7c0 (このIDを非表示/違反報告)
塩水(プロフ) - グミカン様こんばんは。シリーズ全作品読ませていただきました。紅一点とも男主とも違う、他の作品とは一線を画すものに惹かれてこのシリーズを読み始めましたが、進めば進むほど作者様の膨大な知識や広い視野を垣間見たようで、どんどんのめり込んでしまいました。 (2022年7月12日 20時) (レス) id: ca8e68c7c0 (このIDを非表示/違反報告)
グミカン(プロフ) - 無気力boyさん» コメントありがとうございます！ ほとんど見切り発車で始めた小説、しかもコアな設定で自己満的な部分もあったかと思いますが、こうして今でも嬉しい感想を頂けること、ありがたく思います。。最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました＾＾ (2020年12月13日 15時) (レス) id: 86c7dc8dad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：グミカン | 作成日時：2020年4月29日 16時
