12. 遠い心 ページ39
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「……ごめん」
そんな言葉が、ぽつりと降ってきた。
「……できない、」
掠れた低い声が、少しだけ震えているような気がした。
「…………ごめん」
そう何度も謝られると、余計に胸が苦しくなる。
まるで全てを否定されているような、そんな感じだ。
しかし貴方は人の気も知らないで、何度も謝るだけ。
それはどこか、ここにいない誰かへ向けた言葉のように思えた。
MN「どうして、ですか？」
聞きたくない。知ってしまいたくない。
そう思うのに、何か自分の都合のいい答えが出てくるのではないかという僅かな希望が、そんなことを口走らせる。
キスは苦手なのだとか、誰かに見られたら危ないからとか、そんな言い訳を期待してしまう自分がいるのだ。
だがAは珍しくひどく困ったような顔をして、こちらに目を合わせないままこう言った。
「……自分でも……分からない」
――分からない、って、何？
恋人同士がキスをする。
そんな普遍的なことを拒絶する理由が、分からないだなんて馬鹿げている。
もっと納得できるような、真っ当な答えが欲しい。
でなければきっと、もっと貴方の事が頭から離れなくなってしまう。
MN「私のこと……嫌いなんですか？」
「そんなわけ……」
MN「じゃあ、“好き”ですか？ 恋人として、私のことが“好き”ですか？」
もう、はぐらかしは無しだ。
ミナは自分でも驚くほど強い口調で、Aにそう問いただす。
しかし、Aから返ってきたのは、まさかの言葉だった。
「……“好き”って、何？」
苦しんでいるような、そんな淀みを宿した瞳が、こちらを見つめてくる。
いつもの儚げで優しい色は、どこかへ消え失せていた。
MN(……そ、っか……)
まるで絵に描いたような紳士で、賢くて、気の優しい人間は、本当は臆病で、自分に自信がない人間だった。
MN(私と一緒にいてくれるのは、きっと……)
――“放っておけない”。
いつだったか言われたその言葉が、虚しく脳裏に響く。
MN(やっぱり聞かなければ、よかった……)
――――心が、遠すぎる。
自分はただ、勝手に深い海に迷い込んで、勝手に溺れているだけなのかもしれない。
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グミカン(プロフ) - noenunaさん» noenunaさん、コメントありがとうございます。。 そう言ってくださる方がいて、作者心底ほっとしております!! なにせ趣向が偏りがちの作品で……。笑 もう少しですが、完結するまで頑張りますので、どうかお付き合いいただけると幸いです。。 (2020年1月3日 22時) (
レス) id: bc74e0fc10 (このIDを非表示/違反報告)
noenuna - こんにちは。連載当初から読ませて頂いておりましたが、この章の展開にはたまらずコメント残させて頂きました。本当に素敵なお話で読むたびに胸が熱くなります。今後も陰ながら応援しています。どうかお身体にお気をつけて下さい。更新を心から楽しみにしております！ (2020年1月3日 16時) (レス) id: e077cb6cb1 (このIDを非表示/違反報告)
グミカン(プロフ) - ポンポネッラさん» ポンポネッラさん〜!! 毎回コメントありがとうございます。。更新滞ったりしていて申し訳ないですが、こうやって読んでくださる方がいるおかげで頑張れます〜！ あの残り短いですが、みんなの恋がどうなっていくのか、見守ってあげてくださると嬉しいです。。 (2019年12月21日 16時) (レス) id: bc74e0fc10 (このIDを非表示/違反報告)
ポンポネッラ(プロフ) - 続編おめでとうございます！ 遂に恋心を自覚したメンバーが.......！ これからどうこの恋が動き出すのか私もドキドキワクワクしています。グミカンさん、更新頑張ってください！ (2019年12月16日 14時) (レス) id: 96af192ec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：グミカン | 作成日時：2019年12月16日 0時
