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JM「……え？」
柔らかく、儚さを孕んだ微笑みで現れたのはAだった。
まさか自主練を見られていたなんて。
しかも、現代舞踊を踊っている姿を、あの完璧なAに。
もう一度見たい、その言葉を自信のないジミンはどう受け取ってよいか迷っていたが、無意識に湧きあがったのは恥ずかしさと照れくささだ。
JM「いいの？」
誰よりも一番遅れてプロジェクトにやって来たにも関わらず、ダンスで周囲より頭一つ分抜き出ているA。
そんな人の前でダンスを、しかも現代舞踊を、一人で披露しなければならない。
喜びと羞恥心が葛藤する中、ジミンは謙遜気味にそう問いかける。
するとAは、少しだけ目の弧を深くして力強く頷いた。
ジミンは意を固め、スマートフォンの再生ボタンを押す。
曲がかかれば、もう雑念はどこかへ消えていた。
現代舞踊の世界観の中を、まるで火の鳥のように舞うジミン。
スタジオの端で体育座りをするAの恍惚とした視線が、静かに注がれる。
ジミンは全てを忘れて、ただ大好きで仕方がないダンスに溺れた。
JM(……やっぱり、楽しい)
楽しくて仕方がない。
できない部分があっても、それを乗り越えていく作業が大好きだ。
だから、いくらでも努力ができる。
踊っている最中は、眠気も疲れも忘れられる。
「ジミナ……すごく素敵だ」
踊り終えたジミンに、少しだけハスキーがかった特徴的な声が届く。
声の方向を見れば、そこに目を丸めて呆然とするAがいた。
「現代舞踊は何度も見たことがあるけど……ジミナ。君の踊りは、すごく優雅で、熱くて、あぁ、何て言えばいいのか……」
語彙力、と呟きながら、未だ呆然とするA。
妥当な言葉が見つからないのだと、頭を掻く。
「とにかく、ジミナらしくて、魅力的だ。……正直、僕はダンスに自信があるけど……ジミナのようには絶対に踊れない」
その言葉は、伝えたいというより、思わず零れてしまったかのような響きを含んでいた。
いつも微笑みを崩さないAがまるで子供のようにぽかんとした顔をしていて、ジミンは思わず驚く。
――意外と、素直な一面もあるじゃないか。
ジミンは自然と高鳴る胸に、少しだけ動揺を覚える。
そして何より、自分が勝てないと思っていたAに、こんな風に言ってもらえるなんて。
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作者名：グミカン | 作成日時：2019年10月14日 2時
