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ダンスの大会に出場するたびに、Aはその才能と他に類を見ない独創性を発揮した。
力強くキレもあり、しなやかで、どこか柔らかさも感じさせるAのダンスは、瞬く間に見る者を魅了する。
いつしかそれは中学校でも噂になり、Aを“女の子”でも“男の子”でもなく、Aとして認める者が増えていった。
有名になっても芸能界やメディアへの誘いを一切断っていたAは、中学校３年の春になると、将来を危惧するようになっていた。
いくら実力が認められようと、女が男として芸能界を生きる事は不可能と考えていたA。
居場所など、どこにもないような気がしていた。
そんな折、同級生たちが自分に会いたがっていると清華から聞いて、学校に戻る決意を固めたのだ。
しっかりと勉強して、将来は自営業をしよう。
そう、Aは思った。
こうして昼間は中学生として過ごし、放課後はダンスに明け暮れる毎日を送ったA。
高校でも、それは変わらなかった。
高校入学前からAの噂は広がっており、Aに近寄る者たちは沢山いた。
“欠点”は隠せない。
Aはそう覚悟を決め、クラスの自己紹介で自らそれを明かした。
こうして、現在に至る。
これが“あなた”だ。
“あなた”はAとして、この世界を強かに生きている。
そしてそんな“あなた”に、今目の前にいる幼馴染の清華は、複雑な想いを抱いていた。
「私、気付いているんだよ」
清華がぽつりと零した呟きを、Aは聞き逃さない。
「……なにを？」
いつもの微笑みのまま、僅かに緊張の色を含んだ眼光が清華を見つめた。
「あなたの、本当の気持ち」
清華が言うと、Aの頬が強張り、同時に桃色に染まった。
「それは……っ」
「いいよ。私。……Aの恋人になっても」
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作者名：グミカン | 作成日時：2019年10月14日 2時
