Life of BTS はじまりの鐘 (ページ28)

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TH「気にせずゆっくり浴びておいで～、A」

脱衣所の扉の前で、Aは着替えを抱えながらいつもの表情のまま、どこか少しだけ警戒を孕んだ眼光でテヒョンを見つめた。

「……ありがとう、テヒョン。君のこと、信じてるからね」

TH「はいはい、分かってるから早く行っておいで～」

と、言いつつも、やはり気になるのが本音。
まだまだ幼い少年心を失くしていないテヒョンは、湧きあがる好奇心をなんとか必死に抑えていた。

TH「A～シャワールーム入ったら教えてね～」

宿舎のシャワールームは、脱衣所が共有スペースとなっており、その奥の扉を進むと個室のシャワールームが幾つも並んでいるというような造りをしている。

テヒョンは脱衣所の扉の前で、Aがシャワールームに入るまでの間、誰も来ないように見張りをしていた。

……そんな時。

「あれ？テヒョンさん、こんなとこで何してるんですか？」

ふいに声をかけてきた、事務所の練習生。
彼は扉を塞ぐように仁王立ちしているテヒョンを、不思議そうに見ていた。

TH「あ、あぁ。なんか、脱衣所の鍵が壊れてるみたいで、開かないんだ」

そう苦し紛れな嘘を吐いたテヒョンだが、目を左右に泳がせるその様はなんとも白々しい。

しかし練習生は、なるほど、といったように頷き、そして管理人を呼んでくると言って走り去っていった。

まさかこんなにあっさり引っかかってくれるとは思わず、拍子抜けする一方で、これが相手がナムジュンだったらすぐにバレていたのだろうと冷や汗を垂らす。

TH(A……早くシャワールーム入ってくれないと)

管理人を連れた練習生が戻ってきたら、もうどうにもできない。
そう思い、扉に耳を当てて中の様子を伺う。

しかしいくら耳を澄ませても物音はせず、どうやらシャワールームに言ったようだとほっとしたテヒョンは、ゆっくりとその扉を開けた。

TH「A、もう入っ……――っ！」

テヒョンは言葉を遮り、視界に入ったその光景に目を見開く。

「……テヒョン」

どういうわけか動揺することなくただ怪訝な目をしてそう呟いたAに、テヒョンは反応すら忘れてその光景に釘付けとなっていた。