Life of BTS はじまりの鐘 (ページ25)

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肩まで伸びた黒髪はパーマのかかったふわりとしたウルフで、耳の付け根まで切られた前髪が、その目を半分ほど覆っている。

耳には小ぶりなピアスが付けられているが、正直言って装飾品などなくても十分にかっこいい。

まるで手腕のメイクさんにプロデュースしてもらったかのように、彼は自分をよく分かっていると思う。

RM「今度は、一緒に買い物にいくのもいいかもね」

「それはいい。ヒョンに服を選んでほしいです」

サムギョプサルの店に入った二人は、終始落ち着いた様子で他愛ない会話を繰り広げた。

Aが生まれた日本のこと、好きな音楽のこと。
音楽に関しては、ヒップホップが好きな者同士、互いに饒舌になったりもした。

そしてナムジュンは、目の前で美味しそうにサムギョプサルを味わうAに、また不思議な感覚を覚えていた。

何が不思議なのかと言うと、その食べ方だ。

心が男と聞いていたから、きっと豪快な食べ方をするのだろうなと思っていたが、Aは決して頬張ったりはせず、丁寧に咀嚼してきちんと味わっている。
もちろん韓国人特有のくちゃくちゃという咀嚼音もなく、本当に食べ方が綺麗だ。

なんだ、女性らしい一面もあるのか、と内心ほっとしたことに、ナムジュンは少しだけ罪悪感が湧いた。

RM「なぁA……好きな女の子のタイプとか、ある？」

ナムジュンは罪悪感を拭おうと、敢えて男同士らしい話題を振る。
するとAは目線を左上に上げ、しばし考えた後にこう言った。

「凛とした人……です」

韓国語での表現法が見つからないのか、日本語で言うA。
ナムジュンはその聞き慣れない言葉に、首を傾げた。

「落ち着いていて、かと思えば快活で、一本筋の通った人。って感じですね」

『凛としている』は日本特有の言葉なのだと、Aは教えてくれた。

ナムジュンはそう語るAの、どこか切なげで哀愁が滲む瞳に、彼の中に強くある"男"の部分を垣間見たような、そんな気がした。

RM「なるほど。なんか、Aっぽい答えだな」

いつも天使の微笑みで、落ち着いているAにぴったりな人物像だ。
そんな女性と並んで歩くAを思い浮かべて、ナムジュンは何かが腑に落ちた感覚を得た。

RM(Aは、本当に"男"なんだな)

少しだけ胸のつっかえが取れたような気がすると同時に、ナムジュンは何故か落胆している自分に気付き、内心驚くのだった。