Life of BTS はじまりの鐘 (ページ20)

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第２章　触れるページ20

第2章触れる
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Aが防弾少年団の最後のメンバー候補として現れてから、２か月が過ぎようとしていた。

共にレッスンに励む中、７人のメンバー達は菅野Aという人物を垣間見て、分かった事が幾つかある。

まず一つ。
菅野Aが他に類を見ないダンスの天才だということ。

ダンスの振付を覚えるのが異常に早いのは、初めから誰もが認めざるを得なかった事だ。
だから、そこではない。

菅野Aがダンスの天才だと言う事を明確に見せつけられたのは、初日の練習から数日後の、パン・シヒョクによる評価の時間での事だ。

評価は毎回１人づつ部屋に呼び出されて行われるが、その日だけはなぜか最初から全員部屋の中へ入れられ、他のメンバーが見ている中でダンスを披露しなければならなかった。

そこで見た菅野Aのダンスは、まさに流れる水のようで、燃え盛る炎のようで、脈打つ地面のようで、一瞬の風のようだった。

表現力や柔軟性で言えばホソク、力強さやしなやかさで言えばジミン、キレで言えばジョングクが、それぞれダンスの才能と個性を持って居る。
それだけでもう十分だと言えるくらい完璧な人材が揃っているというのに、Aの才能はそれを遥かに凌ぐものだった。

Aのダンスは、ホソクのものとも、ジミンのものとも、ジョングクのものとも似つかない。
まさに性の問題を抱え、分別を超えた場所に存在する菅野Aを体現しているように思えた。

パン・シヒョクの評価も、申し分なかった。

――君がグループに入る事で、防弾少年団に欠けていたアーティストっぽさが一気に上がった。

その言葉に、他のメンバーは納得せざるを得ない傍ら、どこか複雑な気持ちを覚えていた。

そして、二つ目。
菅野Aの中身が、本当に男だということ。

ある日、練習を終えたメンバーたちに、スタッフの一人が言った。
「親睦会をしてきなさい」と。

それはスタッフの発案ではなく、パン・シヒョクのものであると瞬時に悟ったメンバーたちは、渋々８人で食事に出かけた。

そこで垣間見た、菅野Aの男性の部分。

元々の顔立ちの良さと、柔らかいその微笑みは、会う者を魅了する。特に女性にかかれば、他のメンバーよりもずっと上手だった。

菅野Aをただの男だと勘違いした従業員の一人に大層気に入られたA。