20. １人目の男 ページ48
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５月２７日。
この日、防弾少年団のデビュー曲に合わせた、初のティザー写真が公開された。
JM「テヒョン！ 物凄い反響だね……！」
TH「ほんとだ……」
練習が終わり、スタジオでそれぞれ自主練をしている中。
ジミンとテヒョンは寄り添って一つのスマートフォンを食い入るように見つめていた。
TH「よ……よかったぁ〜……」
公開された４枚のティザー写真には、すべてテヒョン個人のもの。
防弾少年団の“Ｖ”として、遂にテヒョンの存在が公にされたのだ。
それまでシークレットメンバーとしてひた隠しにされていた美少年の存在に、待ち侘びていたファンがより一層歓喜する中、テヒョンはこれまで感じていたシークレットメンバーとしての期待とプレッシャーから少しだけ解き放たれたことに安堵していた。
RM「テヒョナ。これでお前も、公式に防弾少年団の一員だな」
TH「ナムジュニヒョン……！ ありがとう……つ！」
ナムジュンの言葉に感極まったのか、テヒョンは涙を浮かべて彼に抱き着いた。
RM「お、落ち着けって！ まだ、これで終わりじゃな……」
JN「そうだよ、皆。まだ、１人だけ残ってるじゃないか」
ジンの言葉に、スタジオ内が静まり返る。
７つの視線は、当然の様にある人物へと注がれていた。
「僕は最後に公開されるって、聞いてるよ」
鏡に映る自分を真剣に見つめたまま、そう答えるA。
TH「レン、ごめん……」
テヒョンは、感激のあまり周りが見えていなかった自分を省みる。
今まで半分こにしてきた期待とプレッシャーが、この日からAひとりのものへと変わるのだ。
そんな申し訳なさから、つい謝罪の言葉が口を突く。
「気にしなくていいよ、テヒョン。
君の場合はビジュアル的な理由で今まで明かされていなかったんだ、それに気付いてプレッシャーを感じていたんだろ。
けれど僕の場合は違う。
期待やプレッシャーはない。だから、心配しないで」
そう言って少しだけ微笑するA。
Aが微笑みをメンバーたちに見せるのは、これが久しぶりだった。
だからか、メンバーたちは少しだけ驚き、と同時に、その微笑みが少しだけ陰っている事を切なく思うのだった。
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作者名：グミカン | 作成日時：2019年10月14日 2時
