3話 ページ3
〜アルバート〜
アルバート｢顔が赤いようですが体の具合が悪いのでは？｣
額を当てるとすぐに私を押し退けた
｢だ、大丈夫です……！！｣
アルバート｢本当に？今日はもう休んだほうがいいのでは？｣
｢っ……これ！！出来ました！！｣
アルバート｢Aさんに何かあると僕は嫌だ。店じまい手伝いますよ｣
無視して片付けを始めるとAさんに腕を掴まれた
｢お代は結構ですので。ありがとうございました！！｣
花束を押し付けられ背中を押されて追い出された
こんなに立派な花束にお金を払わないのは失礼だ
私の名前を書いたメモと一緒に見つけやすいとこに置いた
Aさんのセンスは良い
女性とはいえこれを人にあげるのはもったいない
ミスグレンジャーには我が家のバラを送るとして、これは職場に持っていこう
私の為に選んでくれた
その事実だけが胸を踊らせる
香りからも品性を感じる
Aさんが手がけた花は本人に似て美しい
いつも通り仕事をして、夜になればまた花屋に出向いた
最後の接客を終えて店頭に並べていた花を片付けるAさんに歩み寄る
アルバート｢こんばんは。綺麗な月ですね｣
｢こ、こん…ばんは。今日はもう……｣
アルバート｢食事、行きませんか？｣
｢すみませんが……｣
アルバート｢Aさん。結婚する前に“借り”は返しておいたほうがいいのでは？｣
｢あ、っ……はい。あ、……すぐに支度します｣
アルバート｢ゆっくりでいいですよ｣
まるで恐怖するような目は、完全に私を意識している
柄にもなく照れてしまう
浮き足立っているとAさんが出てきた
優しくエスコートするように腰に手を回すと過剰に反応しては離れた
アルバート｢何か勘違いしてないかな？純粋に祝いたいんだ。Aさんを｣
｢そ…うなん……ですか……？｣
アルバート｢確かに僕はフラれたけど友情までもが壊れたとは思っていない｣
｢アルバート様と友達なんて恐れ多い｣
アルバート｢どうしてAさんは身分にこだわるんだい｣
｢この国では貴族様は偉くて｣
アルバート｢初めて会ったときはそんなの関係なく接してくれたじゃないか｣
｢あれは……本当に申し訳なく思ってます｣
アルバート｢敬語は仕方ないにしても壁を感じるのは嫌なんだ｣
真っ直ぐと向き合えばAさんも真摯に受け止めてくれる
今度は逃げられないように手を差し出すと不安そうにしながらも重ねた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まゆ
| 作成日時：2021年9月29日 21時
