【アルスマグナ】勝手に親衛隊 短編集

『君と僕とで甘いの二乗』 榊原タツキ ページ29

今日も隣の席から甘い香りがする
貴方はきっとその香りに気付いていない

「おはようAちゃん！」

熟れた林檎の様に真っ赤にさせた頬、桃の様な可愛らしいピンク色の唇に、マンゴーやバナナよりも明るく輝いている様に錯覚させられるケアの行き届いていたサラサラの金髪
そのどれもが甘く、女の子以上に女の子らしいそんな男の子

「おはようタツキ君」

お金持ちのお坊っちゃま榊原タツキ君は私の席のお隣さんで、毎日メイドさん達お手製のお菓子を笑顔で別けれくれる優しい子だ

「タツキ君、今日は何を作ってもらったの？」
「今日はね、クッキーとパウンドケーキとAちゃんが好きなオレンジマフィンだよ！」
「本当？！やった！ありがとう！」
「どういたしまして！」

私達の朝の会話はいつもこの話題から始まる
まだ会ったことのないメイドさん達のお手製お菓子は全部頬が落ちそうなほど美味しくて、一度食べたら他のお菓子が食べられなくなるのが最近の悩みだと彼に話してから優しい彼は毎日メイドさん達に頼んでくれるので、朝の話題には欠かせないのだ
優しい彼とまだ見ぬメイドさん達には言葉の通り頭が上がらない

「あ、それとねAちゃん」

休憩時間に食べれる大好きなお菓子で頭いっぱいに考えていると彼に話しかけられた
まだ何か作ってもらっていたのだろうか？

「ん？なにタツキ君？」
「今日、誕生日だよね？おめでとう！」

そう言って鞄から可愛らしいカナリアイエローの袋を取り出して私に渡す彼の顔は林檎や苺よりも真っ赤だ

「あ、ありがとう！でも、どうして私の誕生日知ってるの？言ったことなかったよね？」
「そ、それは、ね...」

その言葉の後にこんなに真っ赤になって大丈夫なのかと心配になるくらい首まで赤くしていた彼が口した言葉のせいで私も比にならないくらい真っ赤になったのはまた別の話




『Aちゃんが好きだから』


甘い物が大好きな真っ赤な私と彼の
スイーツストーリー

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