【アルスマグナ】勝手に親衛隊 短編集

『ろくぶんのいち-Gravity of the earth's 1/6- 』 朴ウィト ページ18

彼から会いたいという電話が来たのは私が全てが思った様に上手く行かず失敗ばかりで泣いていたちょうどその時だった
声は震えていなかっただろうか
きっと目は腫れているが、彼を待たせるわけにはいかない

急いで仕度をして彼が指定した公園へ走る
公園の入り口まで来て、辺りを見回すと空を仰ぎながらブランコで遊んでいるウィトが居た

「ウィト」
「A先輩」
「待たせてごめんね、寒かったでしょう？」
「僕なら大丈夫ですよ！そんなことより先輩、何かあったんですか？目が真っ赤です
あ！誤魔化すのはナシですよ！」

彼は人の心を読む力でもあるのだろうか
アレルギーで目が痒いとでも言って誤魔化そうとした矢先にそれを言われてしまっては、本当のことを言うしかない
私が失敗続きで悩んでいることを話すと彼は親身になって聞いてくれた
そして私が話終えると彼は私を驚かせた

「A先輩知ってますか？月の重力は地球の重力の1/6なんですよ」
「知ってるけど、それがどうかしたの？」
「月まで行けばきっと先輩の心も1/6になりますよね」

月へ行けば私の心も重力と共に軽くなると彼は言うのだ
今までそんなこと考えた人、ウィト以外にいるだろうか
いるかもしれないが、私を励ますためにそう言ってくれるのはきっとウィトだけだ
彼は本当に奇抜で優しすぎる

「いつかきっと僕が月へ連れて行きますね！！だから...」
「？ウィト...？」



『その時まで僕の左手を握っててくれませんか？』


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ぼーかりおどP様の楽曲
『1/6-out of the gravity-』
より一部抜粋

『嬉し雨のち、晴々おはよう』 泉奏→←『 Starlit sky 』 榊原タツキ

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