趣味で歌い手やってたんですが、【stpr】

邂逅 ページ1

side.satomi









今思えば、この出会いは必然だったのかもしれない。






まだ俺がすとぷりとしての活動なんてしてなくて、お芝居の勉強をしていた頃。


バイトして貯めた金でゲーミングPCを買ってオンラインゲームに打ち込んでいた時に出会った"A"。







最初は野良同士"偶に一緒になるなあ"程度の認識だった。

突出して上手い訳じゃない、けど安定したプレイに純粋に興味が湧いてフレンド申請をしてみた。








そしたら話が盛り上がるのなんのって。







チャット上での言葉遣いが丁寧で好感が持てる。


何度もやり取りをしてそれなりに仲良くなったある日、もっとゲームについて語りたかった俺は文字を打つ時間も勿体なく感じて、









"良かったらdiscord繋ぎません？"

"良いですよ"









軽い気持ちで通話に誘った。

互いにdiscordのコードを伝え、ソフトを起動させる。


ヘッドセットを装着し準備は完了。チャット画面でそれを伝えると向こうからも"準備できました"と一言送られてきたので通話を繋げる。









「あー…もしもし？」

『え、』

「…ん？」








………女？

中性的ともとれるけど、声が高い。









『あー…"さとみ"さんって男性だったんですね』

『ごめんなさい、わたしもちょっと紛らわしい名前でしたよね』







どうやら向こうは俺を女と勘違いをしてたらしい。たしかに"さとみ"だもんな。




…やべ、俺もしかしてネカマと思われたか？









「いや、こっちこそすみません紛らわしくて」

「決してネカマとかじゃないんですが」









とりあえず先に謝らせてしまったので咄嗟に謝ると小さく『ふふ、』と笑い声。次いで『お互い様ですね』と。



芯があって良く通る綺麗な声。









――――――心地良い声。




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