休み時間【文化祭編1】 ページ9
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「今日は文化祭の出し物を決めま〜す!」
そう黒板の前に文化祭の実行委員なのであろう2人が言った。
文化祭、授業は無いからいいけど人いっぱいで苦手なんだよな、今年も教室で隠れとこっかな……どうせ幸村君も他校の女の子に囲まれてるだろうし、なんて机に突っ伏した。
「劇やりたい!!男女逆転物の!!」
と、クラスの女子が言っているのが耳に届く。劇か。劇なら裏方に回れば人のいないとこに居られるかな、なんて頭を上げると隣からあ、と小さい声が上がった。
「寝てなかったの?」
『寝てない、文化祭が億劫なだけ』
そう言いながらシャーペンでプリントの端っこに落書きする。それをニヤニヤしながら見てる幸村君はちょっと苦手だ。
『幸村君は劇出るの確定でしょ、頑張ってね』
「一関さんは?」
『裏方する、目立つの苦手』
「ふーん……」
なぜかもう勝手に演目まで決まってしまって裏方か役者かを希望する紙が前から回ってきていた。
幸村君が舞台か、すごく映えるんだろうな、と思いながら裏方希望と紙に書いていると幸村が肘をつきながらまた話しかけてくる。
「一関さんにお姫様役してほしいんだけどな」
『は、無理だって、恥ずかしいもん』
「似合うと思うんだけどな」
また心にも思ってないことを、と毒づきながらぼんやりと見ていると、どうやらお姫様役だけが空席らしい。王子様役はやっぱり幸村で、まぁそうなるよね、顔がいいって羨ましいな、と心の中で思った。
「もう!みんな裏方ばっかで決まんないじゃん!女子みんなでくじ引きして決めよ!!」
と、誰かが言い出して、次は回ってきたくじを引いた。手の中にある4つ折りにされた小さな紙切れを見つめる。
「紙に丸が書いてあった人が姫役ね〜」
……この紙を開いて、丸が書いてあったらどうしよう
なんて、馬鹿みたいなことを考えて紙を開く。案の定紙には何も書いていなくて、安堵なのかなんなのか分からないため息が漏れた。
「どうだった?」
突然隣からまた話しかけられてビクッと肩が揺れる。
『……ちがかった、けど』
「そっか、残念」
『……まぁいいんじゃない?可愛い子じゃん、相手』
そう言うと、幸村くんは不満そうな顔をした。
「だから、一関さんがいいんだって」
『はいはい、からかうのもいい加減にしてよね』
何だかまだ言いたげな幸村君と黒板に配役を書いていく同級生達に目を逸らして、窓の外に飛ぶ蝶に意識を飛ばした。
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向日葵 - 男女逆転なら男が姫役で女が王子役なんじゃないの?女が姫役、男が王子役だと男女逆転にならない気がするんだけど.... (2月23日 12時) (レス) @page10 id: 14452fdad1 (このIDを非表示/違反報告)
有山(プロフ) - のんさん» ぎゃー!返信遅くなり申し訳ないです…!コメントありがとうございます…( ; ; )幸村君が好きな子の表情が好きすぎて意地悪しちゃうのいいな!っていうただの偏見妄想小説でして…褒めていただき光栄…( ; ; )更新頑張ります〜!ありがとうございます! (2020年10月10日 22時) (レス) id: ffc96dd0b4 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 毎日更新お疲れ様です。こちらの幸村くんがとてもとても好きでコメントしたくなったので失礼します……!本当に好みの作品で毎朝幸せを貰っています。絵もお上手で羨ましい限りです……!これからも無理はしない程度に更新頑張ってください、楽しみにしています! (2020年10月9日 8時) (レス) id: d9f3c28035 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有山 | 作成日時:2020年9月30日 15時