隣の幸村君。【幸村精市】

21.5限目 ページ32

ーー

おまじないだよ、と彼女に言うと、すぐに彼女は目を閉じた。


何でもかんでもお願いを聞いてくれるから、こっちはいつか他の男に騙されちゃうんじゃないかって不安でいっぱいなのに、彼女は呑気に目を閉じている。


無防備だね、って擽ってやろうか。


それとも、不意打ちでキスしてもっと照れさせてやろうか、なんて考える。


猫みたいな顎をすくいあげて撫でると擽ったそうにAは顔を歪めた。


ああ、可愛い。


好きだな、と思いながら、頬を擦り寄せる。
彼女の匂いと、柔らかい頬の感触を感じる。


好きだな。


今すぐ抱きしめてしまいたいし、出来るものなら告白してしまいたい。


好き、と。


でもダメなんだ。
言おうとすると、ついからかってしまうから。


頬を離してもういいよ、と言うと彼女は何をしていたのか俺に聞いてきた。


意気地無しがバレるのが恥ずかしくて、会話を流す。


彼女を笑顔をさせたい。
全国をとったら笑ってくれるだろうか。
好きと言ってくれるだろうか。


そんなことばかり考えてしまう。


とにかく、彼女のためにも、自分のためにも、全国を取りたい。

そう思いながら、彼女のいない帰り道を歩いた。


ーー
幸村君はほっぺすりすりをしていました！(中学生か！？)
キスしたい！でも無理！って謎のヘタレ発動しちゃう幸村くん、私は好きですよ

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