隣の幸村君。【幸村精市】

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ーー

幸村君と仲直り(？)というか、元気づけが上手くいって数週間後。
彼の手術が決行された。


生憎、その日はテニス部の関東大会の日だった。
テニス部が来れないかもしれない、だからついていてくれと柳君が突然やってきた時はなんで私が！？となっていたけど、今の幸村君の状況を見たら納得が言った。


「めちゃくちゃ緊張する」


『幸村君って緊張するんだ……』


するよ、俺だって人間だよ、なんて幸村君は突っ込む。


「A」


幸村君の声がちょっぴり震えた。
ほんとに緊張してるんだ……


『なに？』


なるべく緊張がとけるように、普通に返事すると幸村君はもうちょっと近づいて欲しいとでも言うように手招きをした。

『……はい、来てあげたけど』


「あのさ、抱きしめていい？」

『はぁ！？』


真顔でそう言う彼をありえないという目で見ると彼は少ししょんぼりした様子で


「ダメだよね……不安だから落ち着きたかったんだけど……」


と言った。断りづらい雰囲気がすごくずるい。


『……う……、は、ハグはダメだけど手繋ぐくらいなら、友達だし、いいよ』


「ハグはダメかぁ」


ヘラヘラ笑う幸村君は直ぐに私の手を取ってにぎにぎと指を絡ませた。


「本当は怖いよ」


そう、私の手を握りながら言う幸村君に胸が苦しくなる。


『……大丈夫だよ、私がいるから、1人にしないよ』


そう言うと幸村君は、反則だよ、そのセリフ。なんて言いながらでこぴんをした。


『い、……いた……』


「ずるい事言った罰。」


彼はそう笑って、頑張ってくる、と言って、手術室に入っていった。


……神様、おねがい。
手を組んで座り込んだ長椅子の上で祈る。

幸村君の笑顔が見たい。
テニスしてるところ、見てみたい。

だから。

手術室のランプが消えるまで、私は祈り続けた。
テニス部の人達は、来なかった。

ーー
平日なのにも関わらず読んでくださる方、評価してくださる方、お気に入り登録してくださる方がいてほんとにびっくりしてます……ありがとうございます……
見てくれる方々優しいんですか？
真夜中更新ですが毎日更新するんで！！(フラグ)生ぬるい目で見て上げてくださいませ……

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