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ーー

『……元気な人達だったね』

「ごめんね、うるさかった?」

夕日が沈んでしまいそうな病室で2人で話す。
病室の外ではまだテニス部の人達が話していた。

『そんな事ないよ……男の人苦手だからびっくりしただけ』

そう言って、じゃあそろそろ帰るね、と言おうとした、その時。

「テニスなんて、もう無理だろう」

そんな声が


聞こえた。


『……え』

扉の外を見た。
テニスが、出来ない?

そんなこと ない

ゆきむらくん、そんなことないよ
そう言おうと思って、振り向こうとした。

「……一関さん、今日は、帰って」

彼はそう言った。
彼の目は濁っていた。
真っ黒だ。

『……うん、ごめんね。』

病室を出た。
テニス部の人達がいて、目が合った。
しばらくして、幸村君の叫び声が聞こえた。
苦痛の、声。
今すぐ病室に駆け込みたかった。

「……一関、と言ったか。ここは俺達に任せてくれ」

真田くん、だと幸村が言っていた人が、そういった。
そこで気がついた。

ああ、

私は幸村君のただのクラスメイトで、

彼の心の隙間を埋められるほど、大きな存在じゃなくて。

自惚れてた、だけなんだ、って。
心の隙間は、この人達にしか、埋められないんだ。

彼の心の隙間は、

『……うん、ごめんね。気使わせて。ばいばい。』

カタコトみたいな日本語を絞り出して、病院の廊下を足早に歩いた。

『……っ、ぐ……ぅ……』

涙が止まらなかった。
幸村君を助けたかった。元気づけたかった。
幸村君に、大丈夫だよって言いたかった。

でもきっと、その声は

届かないんだろうな

ただの、プリントを届けるだけのクラスメイトの声は。


ーー

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向日葵 - 男女逆転なら男が姫役で女が王子役なんじゃないの?女が姫役、男が王子役だと男女逆転にならない気がするんだけど.... (2月23日 12時) (レス) @page10 id: 14452fdad1 (このIDを非表示/違反報告)
有山(プロフ) - のんさん» ぎゃー!返信遅くなり申し訳ないです…!コメントありがとうございます…( ; ; )幸村君が好きな子の表情が好きすぎて意地悪しちゃうのいいな!っていうただの偏見妄想小説でして…褒めていただき光栄…( ; ; )更新頑張ります〜!ありがとうございます! (2020年10月10日 22時) (レス) id: ffc96dd0b4 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 毎日更新お疲れ様です。こちらの幸村くんがとてもとても好きでコメントしたくなったので失礼します……!本当に好みの作品で毎朝幸せを貰っています。絵もお上手で羨ましい限りです……!これからも無理はしない程度に更新頑張ってください、楽しみにしています! (2020年10月9日 8時) (レス) id: d9f3c28035 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:有山 | 作成日時:2020年9月30日 15時

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