第五十六話(yu-kun ページ11
「蜜柑の髪は綺麗だね」
蜜柑「えへへ〜、そうやろ〜? うちガサツやからせめて髪だけでもって思って綺麗にしてるんよ〜」
蜜柑の髪はサラサラで、くせっ毛がつかない髪質なんだと思う。
髪をといてて指先の感覚が心地いい。
「……はい、できた」
蜜柑「おぉ…! いつもの三つ編みとちゃう…! なんやろ、なんかふわふわしとる…!」
「ゆるふわって言うのかな、こうしたらいつもと印象が変わると思って。思った通り、可愛いね」
蜜柑「なんや、口説かれとる気分…」
キャーなんて言いながら蜜柑は私の肩をばしばし叩く。
痛い。
「ほ、ほら蜜柑。前向いて?まだする事あるから」
蜜柑「? おん!」
バッグからシュシュを取り出し髪に付ける。
「どう?」
蜜柑「これ、シュシュ…? あっこれもミカンや!!」
「手作りなんだ。ここに来る前に住んでたところで可愛いチャームとか色々集めててさ、集めてたチャームの中にミカンのチャームがあって作ってみたんだ」
蜜柑「て、手作り…!? 嘘やろ…お店で売ってるやつみたい…!!」
シュシュで喜んでもらえるなら、作ってよかった。
蜜柑「…でも、ええの? こんなにいっぱい貰ってしもうて…」
「いいんだよ、貰って」
蜜柑「うう…あんたええやつやな…。こんな友達もててうち幸せ者や…」
「大袈裟だな〜」
蜜柑「はよじいちゃんに見せ行きたい! A、行こ!」
「うんっ」
蜜柑に手を引かれ、部屋を出て廊下を走る。
蜜柑「じいちゃあーーーん! 見て見て見て!!!」
爺「なんや蜜柑。可愛いおべべ着とるな。そんな服持っとったか?」
夾「…姉ちゃんのだ」
蜜柑「そう! Aがくれたんよ!」
爺「蜜柑、Aちゃんにちゃんとお礼いいんしゃい」
蜜柑「言ったよー! でも改めて、Aおおきに! こんな素敵な服くれて嬉しいわ!」
私の手をがっちり握り、満面の笑みを見せる。
転校初日で不安だった学校では、蜜柑のこの暖かい笑顔に救われた。
蜜柑「あ! A! Aに連れていきたいとこあるんよ! 今から行こう!」
「え?わっ…」
力強く私を導く蜜柑の後ろ姿は、葵ちゃんの姿を覚えさせた。
見つけた。
2人目の私の天使。
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