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「はい、乗って〜」

「……え、ほんとに?」

「もう予約してあるから早く」

「え、ちょっと、ぅわっ!」


遅れちゃうから早く乗れ、と颯一郎に車に押し込まれました。後ろの席で隣は宇田ちゃんです。どこ行くの?と聞けば、ついてからのお楽しみ、となんだか得意気。
私の財布大丈夫かな……クレジットカード使えれば大丈夫か……?


「Aはお財布は置いてってね」

「嫌です」

「俺が嫌です」

「俺たち"が"嫌です」

「払わせて?」

「んーん、俺に払わせて。いつものお礼」

赤信号だからと由伸くんはこちらを向いて言ってくるし、そんな可愛い顔してお願いされても払わせませんと宇田ちゃんは言うし、Aにお礼がしたいからいいのという颯一郎。


大したことしてないけどなぁ


大阪の街並みを車窓から見ながらそんなことを思う。みんなが言うほどのことは出来ていないだろうし、今の私にはそこまで言って貰えるような働きも出来ていない。チームに少しでも貢献できるように明日からまた頑張ろう。


「Aがさ、力になりたいって思ってくれてるように俺達も力になりたいんだよ」

「そうそう、同い年じゃん?俺ら」

「少しずつでも頼ってよ」

「……ありがとう」





そろそろ着くよー、と由伸くん。駐車場ないからとコインパーキングに車を停める。
でかい男3人と私。なんとも不釣り合いな光景。ファンの方、見つけても何も言わないでください。


「A〜早くおいで〜」

「迷子になるなよ〜?」

「ならねぇよ」


前を歩く3人に小走りで追いつき、後ろから頼もしい背中を眺める。表情だけ見れば年相応の男の人、バランスの取れた鍛えられた体を見ると、やはりアスリートだなぁなんて。日々の努力の賜物だ。


「由伸さん、ここ、お高いところよね?」

「ん?」

「ん?じゃなくて。私そんなにお金ないよ?」

「はい、行くよー」


予約してあるとは言ってましたが、やっぱり、すごい高そうなお店なんですけど。こんばんは〜なんて言いながら入ってく由伸くんとそれに続く颯一郎と宇田ちゃん。
私だけやっぱり場違いじゃ、、、?

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作者名: | 作成日時:2022年11月16日 19時

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