第十七話 ページ19
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Aは鼻歌を歌いながら自室で自身の髪を括っていた。
腰上まで伸ばされた髪は彼女の手によってスラスラと編み込まれていく。
A「最後に、ピンをつけて…完成！」
横の前髪のところにキラキラと宝石が輝くピンをつける。これはお父様からの贈り物だった。
A「(これを着けていれば、お父様と一緒にいるような感じがするな)」
あくまで気の所為だとはわかっているが、だからといって外す理由にはならない。
A「ショウタには申し訳ないけど…後で謝れば問題ないかな」
Aは楽観的に考え、スキップをしながら昨日の場所へと向かった。
Aは『1-A』のプレートがかけられた教室へ入る。だが誰もいない。
A「今は外で授業をしてるのか…」
ここに辿り着くまでに何個か人のいる教室を通ったが、認識阻害魔法をかけたのでバレてはいない。
A「声を出したり触ったりするとすぐに解けちゃうから中々使わないんだよね〜コレ」
時間割を確認したAは、教室の窓を開けると、固有魔法で箒を取り出した。
A「うひゃ〜、校庭広いなぁ」
奥に見える人達なんか米粒のように小さく見える。
A「お、もしかしてあれかな？」
複数の授業が行われている校庭で、魔法でズームして見ると、昨夜の少年を見つけた。
A「あ、ショウタもいるな…ここの担任ってショウタなのか」
バレたら面倒だな〜なんて口にしつつ、箒に跨がると、Aはひとっ飛びに青い空中へと向かった。
A「ん〜気持ち〜」
久々の爽快感に頬を緩ませつつ、目的の場所へと箒を操作する。
目的地の上空を浮いていると、数十人の生徒とと思われる人達が色んなことをしていた。
ある人は蛙の様に自身の舌をビヨ〜ンと伸ばし、またある人は小さな雷を発生させている。
A「これが個性か…」
小さく呟くと、視界の端に緑谷を見つける。
緑谷は手が光って爆発する。
A「(まだ未完成って感じか)」
ちょっと残念。とため息をつく。
A「バレたらマズイし、帰ろっかな〜」
箒を寮の方向へ向け、帰ろうとしたその時だった。
A「！！」
突然Aのいる場所に熱い炎の様なものが飛んできたのだ。
A「(バレてる…？)」
下の様子を見ると、バレている訳では無さそうだ。ただ障害物の少ない空中に向けて打っていたらしい。
A「あっぶな、もうちょいで攻撃食らうとこだった…」
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作者名：arisu | 作成日時：2024年3月10日 20時
