☆ハイキュー!! 短編集☆

恋なんてしない。 〜 another story 〜　☆灰羽 ページ41

俺は今、恋の病に侵されている。


一週間前、二つ上の鈴乃A先輩が階段から落ちそうになったところを助けた。

そして彼女のあの微笑みがどうしても頭から離れないのだ。

数日後、彼女は俺のところまできて今度お昼ご飯をご馳走すると言ってきた。

まさかの進展に俺は嬉々とした。


夜「今日なんだろ？鈴乃さんとのお昼。」

灰「はい！楽しみです！でも緊張してるっす！」


今日、A先輩と昼食をする約束をした。

楽しみだが緊張もする。


時計をみるともうすぐ朝練が終わる。


昼休みになるまでいつもより長く感じた。




待ちに待った昼休みがやってきた。

中庭に来てほしいと言われ俺はすぐに向かう。

中庭のベンチにスラリとした女子が座っていた。


灰「A先輩！早いっすね！」

あ「灰羽君も早いよ。」


ふわりと微笑む先輩にドキリと鳴る。


あ「この間は本当にありがとう。それで、お礼になるか分からないんだけど、よかったら食べて。」


おずおずと先輩は後ろから弁当を差し出す。


あ「お、美味しいか分からないんだけど！でも食べれない程の味ではないから大丈夫！」

灰「あ、ありがとうございます！スゲー嬉しいです！！」


俺はルンルンと弁当の包みを広げ蓋を開ける。

そこには色とりどりの健康的な中身だった。



灰「おーっ！美味しそうっすね！」

あ「い、今思えば、パンか何かをご馳走すればよかったね・・・。」

灰「いえ！俺、A先輩が作ってくれた弁当の方が嬉しいっす！」

あ「よかった。」


そうしてまたふわりと微笑む先輩。

やけに鼓動が五月蝿い。

俺はそれを隠すように弁当をがっつく。


灰「A先輩は、彼氏いないって言ってましたよね。」


ゴホッと吹き出す先輩。


あ「い、いないけど。でも、す、好きな人はできたよ。」


俺もゴホッと吹き出す。


あ「だ、大丈夫？！」

灰「だ、大丈夫っす。・・・好きな人って、誰ですか？」

あ「灰羽君なの。」


・・・・・・


プシューっと二人して顔が真っ赤になる。


あ「わ、私、今なんて？！ご、ごめんね！聞かなかったことにってできないよね！私、帰るね！」


A先輩が逃げるように立ち去ろうとしたが彼女の腕をとり引き寄せ抱きしめる。


灰「俺も、A先輩が好きです！」

あ「えっ、本当？！」

灰「はい！大好きです！」


俺はA先輩の額にキスを贈る。


灰「俺と付き合って下さい！」



彼女は返事の代わりに頬にキスを贈ったのだった。

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