フリーホラゲー好きによる自己満足短編集

〃 ページ46

そっと頭に手を置き、左右に動かしてみる。
オレンジに近い茶髪は、なかなかの手触りだ。


「……って、私は何をしてるんだろう」


デジャヴを感じつつも、手を離した。
こんなところ誰かに見られたら、恥かしくて死ねる。

言い訳できるように本でも読もうかな……。

後ろにある本棚に手を伸ばす。
と、平腹の体制がグルンと変わって、その黄色い目が私をとらえた。

……え？


「いつから……起きて……？」


真っ青になる私と反対に、平腹は満面の笑み。
これは、この笑みは、ほとんど始めから聞いていたのだろう。

アホなくせして何悪魔みたいなことしてるんだ……。

自分のうかつさをこれほど恨んだ日はないだろう。
頭をフル回転させて、それらしい言い訳を探す。


「ち、違う、これは、その、あれだ、犬をかわいがる的な――」

「A！」


弾んだ声で名前を呼ばれる。
けれどその声は、いつにも増して耳に響いた。

さっきまで静かだったから、大きい声に慣れてないだけ。
そう誰にともなく弁明するが、そんな余裕もすぐ失われた。


――眼が、本気だ。本気と書いてマジだ。

椅子からずり落ちるように後ずさると、平腹も前に進んだ。
顔をずいと寄せられ、鼻と鼻がくっつきそうな距離になる。

距離感がおかしいのはいつものことだが、いつにも増して近い。


「あ、あ、あの、」


今まで取り合わずにあしらってきたのに、
それがこの反応ですべてパーになった。

ポーカーフェイスどころか、息もまともにできない。

目の前のことで頭がいっぱいで、キャパを超えそうだ。


「――好きだ」


なんでこんなに時そのトーンでいうんだ！！
いつも通り叫んでろ！！


「わ……たし……………………も」


そしてなんで私はこんな返しをしたんだ！！
馬鹿か、馬鹿なのか！？平腹のこと馬鹿にできないぐらい馬鹿なのか？


プシュー……。
そんな効果音がつきそうなほど、自分の顔が沸騰したのが分かった。

けど、最後の一文字は本当に小さくて、多分聞こえなかった。

だから多分大丈夫。


多分、というのは……この後すぐ平腹を突き飛ばして逃げたため、
分からないのだ。

し、仕方ないだろう、あの状況から抜け出したかったんだから。

根性なしとかいうな！




「田噛ぃいい！」

「……なんだ」

「Aがデレた！」

「……」

--------------------------------------

リクありがとうございました。
平腹、想像以上に難しかったです。
真剣っぽさ、出てましたかね？

キミガシネ　ジョー　リク→←獄都事変　平腹　リク

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す