〃 ページ4
「いいの？このままじゃ死ぬわよ」
「僕はもう死んだ人間だ」
「あら、その割にはあの娘に惹かれてたみたいだけど」
全てが終わった、燃える屋敷の中で会話する。
あの男は死んだ。娘は生き残った。
私は復讐を無事成し遂げたのだ。
陰からサポートをしただけで、復讐と呼べるのか定かではないが。
しかし、確かに男に自分で手を下せなかったのは残念だが、
未練を残したまま死にゆく姿を見ていると、段々と恨みは消えていった。
なにはともあれ、もう思い残すことはない。
だから、このまま消えることを、抵抗なく受け入れられる。
『ありがとう……』
彼女の声がする。
あの娘の母親だ。
姿は見えないが、近くにいるのだろう。
「別に、たまたま願いと目的が一致しただけ。
アンタに感謝される筋合いはないわ。自惚れないで」
鼻で笑ってそう答えてやった。
すると彼女は彼よりも大きな声で笑っていてムカついたけど、
姿が見えないのだから殴ろうにも殴れなかった。
それにすぐどこかへ行ってしまったようで、
がむしゃらに拳を振り回しても意味はなさそうだ。
そうだ、ムカつくことがもう一つあった。
今日はムカついてばかりだ。
彼に笑われ、彼女にも笑われ、
娘は最後まで私が助けたことに気づかなかったし、それに……。
あの娘にとって、これは感動のハッピーエンドだ。
助けてくれた
助手とともに新たな道を歩み始める。
だが私は、その彼との別れ方が気に入らなかった。
……彼があの娘にお別れのキスをしたのだ。
といっても額にだが。
セクハラよセクハラ！この女たらしが！
娘もまんざらでもない表情してるし！
まったく気に入らない！今日史上最もムカつく大賞よ！
「……怒ってる？」
「なんで怒らなくちゃいけないのよ」
棘のある私の声に、彼は仕方ないと言いたげな笑みを浮かべている。
余裕のあるその顔に、今日のイラっと出来事が一つ追加される。
最高記録での終幕だ。有り難いことこの上ない。
端を上げている唇から、言葉が紡がれる。
それに対して、私は嗤う。
「例えば、嫉妬？」
「――バーカ」
ちらつく炎に囲まれた、崩れる世界の中で。
彼の金髪が、見開いた私の瞳に揺れた。
その感触は、視界と共に溶けていく。
こんな終幕も悪くないかな。
ゆっくりと目を閉じた。
包丁さんのうわさ 保健室の少年 寄り→←マッドファーザー 金髪少年 寄り
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ラッキーアイテム
革ベルト
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瑠衣華(プロフ) - 幽輝＆華さん» ありがとうございます。誤字は普通に私のミスです、すみません。面白いといっていただけて光栄です。これからも作品作り頑張ります！ (2019年1月4日 21時) (
レス) id: 9adbf105ee (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣華(プロフ) - クロノスタシスさん» コメント見落としていました、すみません。共感してもらえて嬉しいです！「実は生きてたりせんかなぁ……？」ってずっと思ってます (2019年1月4日 21時) (レス) id: 9adbf105ee (このIDを非表示/違反報告)
幽輝＆華(プロフ) - 被虐のノエルのオスカーさんのやつ、＜ジーノ管理官＞が＜ジーの管理官＞になってますよ？わざとだったら、すみません！！あと、ものすっごく面白かったです！これからも、頑張ってください！！ (2019年1月1日 1時) (レス) id: 0b112b624e (このIDを非表示/違反報告)
クロノスタシス(プロフ) - 吐きそうな程にアリスさん好きなんは分かる。キミガシネの2章前編ラストは分岐で、レコが死ぬかアリスが死ぬかだったかと……それ見てたワイ「どっちも死ぬなよォォォォ！」でした。ハイ (2018年9月16日 23時) (レス) id: 7e91a010ff (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣華(プロフ) - 雪さん» 共感してもらえてありがたいです。やっぱりショックですよね……。ホラゲキャラは本当に、みんな天使だしかっこいいし可愛いし、人生の癒しって感じです。 (2018年9月16日 21時) (レス) id: 9adbf105ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠衣華 | 作成日時：2018年4月14日 21時
