フリーホラゲー好きによる自己満足短編集

徒花の館　蒼刃　リク ページ9

「あの、結局なんで私ここに連れてこられたんですかね？」

「ん？もらい火だよ？」


目の前でニコニコと笑みを浮かべる男。
その体が所々赤く染まっていなければもうちょっと好感が持てただろう。
顔はいい方だし。

クラスでの所属グループで好感もくそもなかったが、
それがすべてこの日のためだということも理解できた。

性格もあの反吐の出そうなやつらと一緒ってわけじゃないのだろう。

だから、


「人生最大の殺意を今君に贈るよ」


静かにマジ切れすることにした。
ちなみに最高の笑顔とともに。

いや、なんでそうなったんだというツッコミは受け付けない。

しいて言えば、どうせ私も殺されるんだ。
なら、本音をさらけ出して言うこと言ってから死にたい。


「桃山たちに誘われて断り切れずカラオケ行ったら
いつの間にか空気にされてて
なんかよくわかんないことに巻き込まれて
そのまま一言もしゃべる機会を与えられず他の全員死んだ上
自分も死にますって状態でもらい火って……！」


一気に話したので、肩で息をしながら問う。


「もうちょっと、せめて殺すならほかのみんなみたいに
見せ場的なの作ってから殺してくれない！？
扱い雑すぎて心に来るんだけど！」


私の影が薄いとか、そんなことではないはず。

涙目になりつつ必死に抗議するようにビシッと指をさすと、
音霧君はキョトンとした後、くすくすと笑いだした。


「何故！？」


今のどこに笑う要素があった！

もしや、いきなり笑いだすなんて、頭が狂ったとか……？
いや、殺人を平然とやってのけるあたり、もともと狂ってたのか。

納得して一人で頷いていると、音霧君はゆっくりと近づいてきた。

〃→←〃

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