フリーホラゲー好きによる自己満足短編集

獄都事変　佐疫　リク ページ11

「何さ、何さ、なんなのさ」


どっちかというとそれは佐疫が言いたいだろう。
しかしそれでも、私は不満を口にした。


「そんなに怒らなくても……」


頬を膨らませて拗ねる私に、
苦笑しつつもちゃんとかまってくれる佐疫。

彼は本当に、優しい。


私の面倒臭さは自分でもよくわかっている。

ちょっとしたことで拗ねて、それなのにズバッと割り切ることもあるし、
性格が統一されてないというか、なんというか。

なるべく一貫性のある人間になれるようふるまっているが、
たまにこんな風に面倒くさいモードになる。

佐疫は私のことを面倒臭いなんて言わないから、
彼の前だと余計にこのモードに入りやすいのだ。

ちなみに今回のスイッチオンのきっかけは……


「なんで私よりも女子力高いのさ！」


今回の亡者捕獲で佐疫がピアノを弾いたことだ。

いや、もともとピアノが弾けることは知っていたが、
生で聞いたのは初めてだった。

上手すぎる。

心が鷲掴みにされた。

あれで練習中とか絶対喧嘩売ってる。


ただでさえ、私はずぼらで料理は苦手で気配りもできないのに、
ピアノなんて弾くもんだから、佐疫と私に余計差が出てしまった。

同僚の男より女子力のない私……！


「女なのに……」


周りからは女扱いなんて滅多にされなかったのも、
こんな風になってしまった原因だろう。
と、責任を周りに押し付けてみる。


「男より女らしさがない私の立場を考えてくれたまえ！」

「でも、その分Aはかわいいから」

「そう言やどうにかなると思ってんじゃないよ！」

「そう思ったわけじゃないけど……」


ガウっと牙をむくように威嚇したあと、
顔を背けてそっぽを向く。


……実をいうと、ちょっと照れてたり。


その動作をさらに拗ねらせたと思ったのだろう佐疫は、
どこか慰めるように言葉を続ける。

〃→←〃

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