SAN値回復 ページ32
豊久は分かりやすく驚いた。
何をそんなに怒ることがあるか。顔に綺麗に書いてあった。
豊「何がそげん怒っちょる。」
もはや声にも出ている。
「過保護だって言いたいんだよ。助けに来てくれたことは感謝してる。でもそれ以外は何とかできる。」
豊「戦場はおなごがいるところじゃ無か。もうちくと頼らねば後が持たんなる。」
「でも…」
上手く言えない、言葉を探している。そんな様子を豊久は何となく感じた。
だが時が時。何よりAの治療が最優先。
豊久は構わず階段を上る。
Aを壁際にゆっくり降ろし、くたびれた布と飲む用に桶に入れて取っておいた冷水を持ってきた。
豊「おいは治すことだのはよう知らん。Aに任すど。」
黙って俯いたままAは小さく頷いた。
よく分からない。だが悲しそうに見えた。
豊「……そげな顔せんでも誰も捨てん!!」
ぶっきらぼうに頭を撫で、それだけ言うと豊久は部屋を後にした。
「…そんな顔って……どんな顔だよ…」
桶を抱えて自分の顔を覗き込むと、そこには目と眉が垂れて口をきゅっと結び今にも泣きそうな顔が写っていた。
「……コンプレックス…一言で言えば、それだけだ。」
Aは顔をぎゅーっと押さえ込み深く深呼吸をしると足を冷やしにかかった。
「……てか治療は分からんとか言って冷やせるもの持ってくるって…あっ私が言ったからか…」
豊久の意外な気配りにAは苦笑いをした。
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冷やしすぎてもはや皮膚の感覚が分からなくなってきた頃。
窓の方からガサガサと木々が揺れる音がした。
「!! だれ!?」
俊敏に反応すると窓から滑らかに入ってくる青い影。
与一だった。
与「A殿ー!」「与一!!終わったの?」
与一はAの元に駆け寄るとAの目線に合わせてしゃがんだ。
与「いえ、今はエルフたちに任せてこれからまた向かうところです。A殿の様子は豊久殿から聞きました。」
「あいつ…余計なことを…」
思ってた様子と違う、そう思った与一は首を傾げた。
与「どうしてですか?」
「いや…!その…迷惑かけちゃったなぁと…」
与一はよく分からないと言うように一言はぁ、と浅く頷いた。だがAはそれ以上話せなかった。
「かっこ悪いよね…捻っただけで…いや…」
Aは布を桶に戻した。
「捻っただけじゃないんだ…」
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猫目石(プロフ) - 更新楽しみにしております。 (2022年2月11日 20時) (レス) @page40 id: 5676b10c1c (このIDを非表示/違反報告)
タムさん(プロフ) - お隣の山田さんさん» ありがとうございます!がんばります! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 14a7f52abe (このIDを非表示/違反報告)
お隣の山田さん(プロフ) - 更新待ってます!!! (2020年11月27日 23時) (レス) id: d70d52a6f6 (このIDを非表示/違反報告)
タムさん(プロフ) - aiueooooさん» お待たせしました!(´;ω;`) (2020年11月19日 10時) (レス) id: 14a7f52abe (このIDを非表示/違反報告)
aiueoooo(プロフ) - 待ってました! (2020年11月19日 3時) (レス) id: f537d46eb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むきたまご | 作成日時:2016年12月16日 22時