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家に帰った私はやはり彼のことを考えていた。
彼に教わったスペイン語のレポートを、大学に持って行くリュックに移した。
そう言えば明日は午後からだっけ。
講義が午前中にないことを気付き、ふとある場所を思い出す。
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それはやっぱり図書館だった。
そしてその図書館に彼が居るのを思い浮かべる。
明日も彼と話せたらいいなと思う。
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この感情が「好き」ということに私はまだ気付かずに居た。
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次の日。
9時頃家を出て、図書館へ向かう。
彼はまだ来ていないだろう。
いつも彼が座る席の隣に座っておこう。
また、彼のことを考えながら歩いた。
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図書館に着き、奥のフリースペースへ向かう。
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やはり、まだ人は少ない。
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でも、彼はいつもの席に座っていた。
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彼も今日は午後からなのか。
それにしては偶然すぎる。
もしかして、大学生じゃないのか。
疑問に思いながらも、彼の隣に座った。
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らいか「おはようございます。」
有岡「おはよう。」
らいか「有岡くんも今日は、午後からですか？」
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彼は答えない。
何か隠しているようにも見えた。
気になったけど、またいつものように勉強をする。
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気付けば2時間経っていた。
らいか「お昼ご飯、食べないんですか？」
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集中して聞こえないのか。
そんなはずもない。
でも、彼は答えなかった。
昨日は結構話してくれたのに、また初めて会った日に戻ったようで、なんだか少し胸が苦しくなった。
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らいか「私、食べてきます。隣のハンバーガーショップで。」
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お金があるか確認するために財布を出す。
あー、200円しかない。
頭を抱える。
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すると彼がこっちを見る。
全ての荷物を持って彼は出て行く。
私は無意識にリュックを背負って彼を追う。
きっとこれはついてこいの合図なんだ。
彼のことは何も分からないけど、それだけは分かった気がした。
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彼は図書館を出る。
そして、あっという間に隣のハンバーガーショップに着いた。
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彼は店の前でもう一度私を見る。
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らいか「でも私、お金ない…」
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彼は何も言わずに店に入った。
これもきっとついてこいの合図なんだ。
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作者名：らいか | 作者ホームページ：http://raika
作成日時：2019年6月3日 18時
