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#09 ページ10

「結局さ、」

「っへ、」


両側から手のひらでほっぺを挟まれ、ぐいっと知念の方を向かされた。



「大ちゃんが欲しいのは、言い訳でしょ? 約束した頃はまだ子供だったから、今はいのちゃんが約束破ったから……って、いのちゃんに気持ちを伝えなくていい理由をこじつけてるだけじゃん。」

「そ、んなこと、」

「あるよ。一体、大ちゃんはなにを怖がってるの? いのちゃんは10年間も待っててくれてるんだよ? あとは、大ちゃんが気持ちを伝えるだけだよ。」

「………………うん、そうだよね。」


本当に、俺はなんでこんなに臆病になってるんだろう?
いのちゃんとの関係が約束によって束縛されないものになるのが怖いのか。それとも、アイドル、男同士ってことに漠然とした不安があるのか。



「ま、なにはともあれ、いのちゃんと話してみてよ。」

「うん。」

「涼介も言ってたよ。いのちゃんは無駄に意地っ張りで頑固で強がりだから、誰かさんが気持ちを伝えないと、すぐ壊れちゃいそうで怖いって。」


10年間支えになっててくれたものが急になくなるのは、思ったよりも不安で頼りないことだよ。


そう言って知念は、楽屋から出ていってしまった。

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作者名:鎖空 | 作成日時:2017年12月10日 20時

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