小指、出して (ページ17)

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泣いてるのが雰囲気でばれたのだろうか、大ちゃんが子供をあやすように片手でおれの髪を撫でる。

「ほら、大丈夫じゃなかった。」

「っそれは大ちゃんがあーゆうこと言うから、」

「はいはい、ごめんねいのちゃん。……あと、この前は酷いこと言っちゃってごめんね。」

きっと大ちゃんに、約束なんてもう忘れてって言われた日のこと。
本当に申し訳なさそうな声を出すから、大丈夫だよ、と短く返しておいた。

「……なんか、いのちゃんってすげー安心する。」

ぽつりと大ちゃんが呟く。
おれもだよなんて言えなくて、他になんて返せばいいかわからなくて、当たり障りのない言葉を選ぶ。

「だいちゃん、そろそろ衣装着なきゃ。」

「んー……ちょっとぐらい遅れちゃだめかな。」

「だめだよ、ほら、離して。」

名残惜しいのはおれの方だ。
今を逃したら、きっと抱き締められる機会なんてそうそうない。

「……いのちゃん、」

「うん？」

「好きだよ。」

もう一度、今よりも強く包み込むように、ぐっと抱き寄せられる。

「す、すき、？」

「うん。収録後に言っても良かったんだけど、なにも伝えないままいのちゃんと離れるのはなんか名残惜しくてさ。」

へへ、と照れたような笑い声。
恐る恐る、その背中に腕を回す。

「おれも、好き。」

「ふふ、じゃあ両想いだ。付き合おっか、俺たち。」

「っうん！」