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「大ちゃんのことも、伊野尾ちゃんだって悪いとこあったでしょって俺は思うよ。」
「ふぇ、」
「10年間、叶わないって騒いでただけで、伊野尾ちゃんからはなにもしようとしなかったでしょ。なら、約束を無効にされるのも仕方ないなって思っちゃうよ。もちろん俺が約束のこと喋っちゃったのも悪いけど、どの道いつかはこうなったはずだよ、そんな曖昧な約束。」
「っ…………そうだよ、ね、……ごめんなさい、迷惑、かけて。」
うつむくように頭を下げた拍子に、頬に生ぬるい何かが流れた。ぽたりと落ちたそれが、グレーのカーディガンにじわりと染みた。
山田が正しい。
悪いのはおれ。おれが悪い。
「ほんとにごめんね、おれ、馬鹿で……さっきのも、大ちゃんのも、もちろんおれが悪い、よね。……ごめん、ごめんなさい、迷惑だよね。」
「伊野尾ちゃん……」
謝罪に集中しようとしても、こんな時でも、おれの頭に浮かぶのは大ちゃんだ。
大ちゃんがおれに呆れたように冷たい言葉を放った日から大ちゃんのことを考えないようにしていたせいか、なぜかあの日のことばかり浮かんで、また涙が零れる。
__迷惑なんだよね、そーゆうの。
__もう、約束のこと忘れて。
「……ごめん、反省するから、一人にさせてもらっていい……?」
「……目、腫れないようにしなよ。」
今日は、7とBESTで楽屋が分かれていてよかった。山田は優しいから、心配そうな視線でそう伝えて、楽屋を去っていった。
「……っ、だいちゃん、……すき、…」
約束のこと、忘れろなんて言わないで。
ほんとはそんなこと思ってないよ、って笑って。
大丈夫だよ、って抱きしめて。
約束、守ってよ、大ちゃん。
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作者名:鎖空 | 作成日時:2017年12月10日 20時