失敗した ページ10
Aside
4989「なんでそんなこと言うんだよ!なんでお前は、俺の気持ち分かってくれないんだよ!」
「私、そんなつもりで言ったんじゃないよ!なんでそういつも早とちりするの?!なんで私の言いたいことを理解してくれないの?!なんで私の気持ちを考えてくれないの!?」
現在入院して5日目。
ただ今4989番と喧嘩中。
原因は十分前にさかのぼる。
いつものように4989番がお見舞いに来てくれた。
そこまでは良かった。
私はお礼を言いたかった。
「いつも来てくれてありがとう。」
と。
だけど私の口からはこんな言葉が出てきてしまった。
「毎日来なくてもいいのに。だって私と喋ると時間なくなっちゃうし、4989番も疲れるでしょ。」
と言ってしまった。
照れ隠しだ。
4989「最初はお前が見舞いに来てって言ったんだろー!俺はお前が心配で来てやってるのにー!」
4989番は少しムッとしてこう言った。
私はなんだか怒られたような気がしたから
「だって私は好中球の中でもゆういつ女性で弱いし力も無いんだよ!こんなの一人居なくなったくらいで4989番達にはそんなに影響ないでしょ!」
たまらずそう言ってしまった。
4989番の顔が歪む。
悲しそうな顔だった。
4989番だけには黙っていたが骨髄球のとき、私はいじめっ子系骨髄球にこんなことを言われた。
−−−−−−骨髄球時代−−−−−−
骨髄球A「お前さぁ、骨髄球のくせに女じゃん。つまり俺らより力が無い。しかも弱い。だからお前が居なくなっても俺達には影響がないからさ、みんな絶対こう思ってるぞ。『お前は弱いから好中球にはなれない。』って。」
その子たちに何度も蹴られた。
「痛いよ。やめて!」
必死に泣きながら訴えるも効果なし。
その後外で遊んでいた1146番達が助けてくれたが、その言葉は脳内に刷り込まれていった。
私のところに来る前、4989番は怪我をしたらしく、しばらく遅れてから来た。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
そんなことがあったが、4989番にはまだそのことは知られていないだろう。
知られていないことに関しては安心している。
4989番の前では、明るい女の子でいたかったから。
「毎日来なくてもいいのに。だって私と喋ると時間なくなっちゃうし、4989番も疲れるでしょ。」
この言葉が彼の逆鱗に触れたのだろう。
十分前は言い合いだったのが今はガチ喧嘩だ。
失敗した。
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作者名:ここあめ | 作成日時:2021年8月29日 20時