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見過ごしてしまうなら、と1歩前に踏み出した途端、突然目の前の真っ暗な風景が一瞬明るく光ったと思えば数秒後にゴロゴロと音を立てたのだ。
それを境にしてとめどなくなり始めてしまった。
数秒と言っても1、2秒でとても近い場所である事は容易に想像できた。
これでは益々走れなくなってしまった。
また別の案を絞り出さなくては…。
頭を捻らせてみるが何も浮かばない。
そんな中でもピカゴロピカゴロと雷はなり続ける。
…そろそろ怖くなってきたな。
しゃがみこんで考えることにしたが、どうも雷の所為で頭が回らない。
予報では28℃だったのに雨が降ってきた所為で体感温度はだいぶ低い。
それと恐怖感も相まって益々心細い。
「ちょ、何してんの!」
ガチャリと後ろのドアがなったと思うと、福良さんが立っていた。
随分急いでいたのか半ば前傾姿勢だった。
「もう…!ありが心配で出てきたのにこんなとこで何してたの」
というのは、元々私は大きな音がどうも苦手で雷が近いとその分音が大きいからだと思う。
「出てったの結構前だったよね?もう、寒いでしょ」
と言った彼は私を優しく包み込んでくれた。
彼は身長が高く、私は低い為凸凹だとよく弄られるが、こうして抱きしめられるととても心地が良い。
抱き締められた安心感で視界がどんどん滲んでくる。
自分の服が濡れるのも気にせずに先程よりも強く抱き締めてくれる彼はどんだけ優しいのだろうか。
「家、帰ろ?」
『う"ん"』
変な声、とくすくす笑いながら
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった私にキスをしてくれた。
競走だなんて言いながらコンビニまで走った。
1本だけ傘を買って、所謂相合傘というものをした。
そして、肩幅の広い彼と濡れちゃうねなんて笑い合いながら帰った。
勿論、家に着いてからあの時の状況を説明するとこっ酷く叱られたが、次からは今回の様に一緒に帰ってくれると言ってくれたので雨の日が少し待ち遠しい…なんて。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
本日も大変お疲れ様でした。
作者のAです。
今回のお話は、文中に出てくる通り雨が降り出したにも関わらずヒグラシが鳴いている所がヒントになり、ズラズラ書き出した物です。
文字数の関係でおかしな所で次ページへと変わっております。
拙い文章ですが、これからもご愛読頂ければ幸いです。
※設定を変更致しました。
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あり(プロフ) - 妖桜さん» ありがとうございます。拙い文章ではありますが、是非今後もご愛読頂ければ幸いです。 (2020年7月31日 7時) (レス) id: f40a87be7b (このIDを非表示/違反報告)
妖桜(プロフ) - 始めまして。「ちょっと切なめなお話」がちょっとどころじゃないです。( ノД`)シクシク…離れて互いに全面的には良くなったのに内面の葛藤、すれ違いが感受出来ました。また気ままにでも作品を投稿してください。(__) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a702a85950 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あり | 作成日時:2020年7月25日 20時