遙かな夢へと＃１&#５

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慎吾さんの家に着くと、慎吾さんをソファに座らせた。


『洗濯するもの、ありますか？』

慎吾「大丈夫、ありがとう」



慎吾さんは、ひとりで、悲しそうな目でぼんやりと空を見つめていた。



その姿に、どういう意味か、胸が揺らいだ。




洗濯をしながら、衣類にアイロンをかけていたとき、テレビでプロ野球情報が写った。


慎吾「…………」


また、悲しそうな目で笑う慎吾さん。


テレビの局を変えようとすると、テレビに哲人が写った。



『………………！』



思い出した、私、ここ数日哲人の家にいたんだ。


で、哲人の想いに応えられるか……って。


とりあえず、今夜は無理だな。


ここからまっすぐ自分の家に帰ろう。





でも、引っかかるのは哲人の「好き」のことば。









応えてあげたいけど…









なんか、慎吾さんが忘れられなくて、





恋愛の意味で。









まだ心には慎吾さんのことばや笑顔が残っていて







哲人の気持ちに、まだ応えられないきがする。







慎吾「Aちゃん？どうした？」







ほら、こうやって、私が悩んでたら「どうした？」って聞いてくれる。




その優しさは、やっぱり私の心に残っていた。




『慎吾さん…』


慎吾「ん？」




名前を呼んだら優しく笑って答えてくれる。





私がずっと黙りこんでいると、慎吾さんが口を開いた。




慎吾「なにか悩んでる？俺のせい？だとしたらごめん…」




慎吾さんのせいではない……とは言えない。




哲人の気持ちを、私の中で、慎吾さんが邪魔してるんだ。




でも、すべて正直に言おう。




慎吾さんなら、聞いてくれる。





『 怪我してるなか、逆にごめんね、』




慎吾「Aちゃんが落ち込んでる方が嫌だ」








『慎吾さん、この前は、怒ってごめんなさい

別れるとか言って、感情的になって、ごめんなさい。


実はあのあと、哲人と会って

哲人の家で、数日過ごしてて…


そしたら、哲人が、好きって……


哲人のことばは嬉しいけど、応えられないの。』









慎吾「哲人………に？」






慎吾さんは少し驚いて、聞き返す。







慎吾「Aちゃんは、なんで哲人の好意に応えられないの？」







『それは…………』









慎吾さんが忘れられないからだよ…………








『……あ、洗濯機が鳴った……

出してくるね』





私は、まっすぐこちらを向いて聞いてくる慎吾さんから逃げるように、洗面所に向かった。

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