遙かな夢へと＃１&#５

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慎吾side


火曜日の練習。



頭の中は、Aちゃんでいっぱいだった。



哲人「慎吾さん」


慎吾「ん？」



ストレッチしていると、哲人が来た。



表情は少し、こわばっている。




哲人「Aなんですけど」


慎吾「……うん」


哲人「慎吾さん、他に彼女がいたって言ってて。」


慎吾「………うん」


哲人「夜、Aがいたから、家に泊まらせました。慎吾さんと別れてるから」


慎吾「そっか」



Aちゃんは、勘違いしている。



今日も、挨拶もなしだった。



Aと、もう一度会って話したかったが、LINEも既読無視。




慎吾「……今更……哲人といるから、もう俺がAを自分の元に戻す余地はないんやな……」


哲人「慎吾さんとAが別れたからには、俺は堂々とAをとりに行きます。」


慎吾「ん、ええで。哲人、Aちゃんを幸せにな…」



哲人は驚いたようだったが、踵を返してどこかに行った。




『慎吾さん』


慎吾「！？」



いきなりAちゃんの声がしたので驚いた。



『ストレッチ、しましょう』


慎吾「あ…うん」



前みたいな笑顔はない。



黙って、黙々とストレッチをする。



『終わりです。試合頑張ってください』



敬語に戻っている。




ああ、もう二人の間には壁ができた。




抱きしめれば顔を赤くして、話しかければ笑顔でこっちを向いて。




そんな俺達は、もうなくなったんだ。




Aちゃんは、誤解してる。




でも、もうその誤解を解いても遅い。




Aちゃん、




哲人と、幸せになってな。







哲人、




Aちゃんを幸せにしや。

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