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…………
「ハイ。サトシに土産だって。高橋さんから」
いつもの、ダイニングテーブルについてすぐ、二宮くんがクマのバッグをサトシさんの前に置く。
「土産？どっか行ったの？高橋さん。
アレ？でも、金曜はサトシくんと……
土曜も会って……昨日も本屋で会ったよね？」
櫻井さんの口から聞くと、改めて、自分が二宮くんたちの生活を侵食し過ぎていることに気付かされる。
それなのに、今日も、のこのこと来ちゃうなんて、本当に申し訳ない。
「あっ、あの、土産っていうか………粗品っていうか………それで、あの、今日もお邪魔してしまって、本当すみません」
頭を思いっきり下げる。
「「「？」」」
支離滅裂な私の言葉で、頭に「？」マークを浮かべる3人。
余計に申し訳なくなって、もう一度アタマを下げてから、椅子に座る。
「ソシナ？開けていいの？」
サトシさんが目をパチクリとさせて訊いてくる。
「サトシくん。ソシナは、渡す相手が送る相手につまらないものですけど、受け取ってくださいって意味で使う言葉で、ソシナって名前の商品じゃないんだよ」
横にいた櫻井さんが、説明は自分に与えられた任務だとでも言うように、嬉々として説明している。
その、あまりに的確な説明に、私も二宮くんも苦笑してしまう。
「ふ〜ん」
聞いているのかいないのか、適当な相槌を打ちながら、サトシさんが袋に手を伸ばす。
「おっ！パン、だ」
「ふふふ、今日、早起きしたんで、学校行く途中で寄り道して買ったんです。限定10コのタイガーブレッドと、シュガースティック」
「おぉ〜！スゲェ」
パチ、パチ、と大きく瞬きしながら袋ん中を覗きこむ姿が可愛くて、あったかい気持ちになる。
「俺のメロンパンは？」
「エッ？」
横から二宮くんに言われて固まる。
しまった！
私、サトシさんの分しか買ってこなかった！！
「ごめんなさい………今日は、サトシさんの分しかありません」
私の答えに、クスクス笑う二宮くん。
櫻井さんは、と言えば、満面の笑みで私を見ている。
「サトシくんのために、わざわざ買ってきてくれたんだ？この間、そう言えばパンの話し、なんかしてたもんね。ありがとうね」
自分のことのように、喜んでくれる櫻井さん。
何て言うか………
サトシさんだけに、買ってきたことで、さらに喜んでくれているように見えてしまうのは、私の気のせい、ですよね？
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作者名：えりんこ
作成日時：2014年8月26日 0時
