秋桜（by.ROOMS）6 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:72,831 hit

28.4 ページ4

カップを温めていたお湯を、手際良く捨てた後、サイフォンからコーヒーを注ぎ始める松本さん。
ため息がでる程、サマになっている。

「………本当は、そっとしておくべきなのかもしれないけど。
和のことが気になったから、Aさんに来てもらったんだ」

コーヒーを注ぎながら、少し顔をあげて、チラッと私を見る松本さん。
なんとなく、会釈を返してしまう。

「そっかぁ！ありがとうねっ、
かすみちゃん。
俺たち、困ったときのかすみちゃん頼み、
になってきたよねっ？」

相葉さんが、にっこりと笑って、言ってくれた。

「そんなそんなっ、
何も、できませんが………
声を掛けるだけ、でも……」

尻窄みになる言葉を、櫻井さんが拾ってくれる。

「いや、ありがたいよ。
俺も、分かっているつもりで、今回の和の反応は、ちょっと予想外で。
どうしてあげたらいいか、正直、分かんないんだよね」

「俺も、どっちかと言うと、無言で俺を攻めるのが翔ちゃんで、
容赦無く責めてくるのがニノだと思ったから、意外だった」

「ごめん、相葉くん」

「俺の方こそ。ごめん、翔ちゃん」

二人見つめ合って、テーブルの中央で固く握手をしている姿が可愛らしくておかしい。

「………冗談はさておき、和に、どう話しするかだよな」

みんなの前に、コトリ、コトリ、とコーヒーカップを置きながら、松本さんが言った。

「どうぞ」、そう言って、私のところには、お絞りとポーションミルクとスティックシュガー、マドラーのセットを置く松本さん。
慌て、頭を下げると、ニッコリと微笑み返される。

「説明は翔ちゃんと一緒にもうされているから、話しは充分に分かっているんだよね。
問題は、どうやって誤解を解くか、っていうか、許してもらうかってことだよね」

ふぅっ、とため息をつく相葉さん。

ふと見ると、パソコンを消したいらしいサトシさんが、櫻井さんに小声で訊いている。
櫻井さんは『仕方ないなぁ』とでも言うように、満面の笑みを浮かべてサトシさんに教えている。

それを見ていた私たちにも、自然と和やかな空気が流れる。

「いただきます」

礼儀正しく、相葉さんが言って、コーヒーを飲み始め、私もそれに続く。

「あ………美味しい」

「本当？それは良かった」

松本さんが嬉しそうに言ってくれる。